大阪万博の会場に設置されるトイレが全てデザイナーズトイレで、1か所の建設費用が高価なケースで2億円近くかかるらしい……といった話が、大いに物議を醸しているようだ。
話題になっているダイヤモンド・オンラインの記事によれば、万博の会場内にはトイレ(全8棟)、休憩所(全4棟)など20施設が建設されるというのだが、すべてが全員違うデザイナーによるもので、一般のトイレとは全く違う豪華な「デザイナーズトイレ」となるよう。
それらの施設の入札情報によれば、最も高いもので1億9,228万円となっているなど、1か所の建設費用が軒並み1~2億円ほど掛かるようで、一般的な公衆トイレと比べてもかなり豪華のものになりそうだというのだ。
インフラ整備も含めると9兆7,000億円もの費用が?
かねてからパビリオン建設の大幅な遅れが指摘されていたうえに、正月早々には能登半島地震が発生し、被災地復興と万博との両立は現実的に可能なのかとの声もあがるなど、様々な問題を孕みつつも、来年に控えた開催日へのカウントダウンは刻々と進んでいる大阪万博。
なかでも、疑念の声が多くあがっているのが膨張し続ける万博の開催にかかる費用で、会場整備費に関しては、当初想定の2倍近い最大2,350億円になる見込みと報じられているのだが、1月末に行われた「万博予算執行監視委員会」では、今後のさらなる物価上昇も考えられることから「これで足りるのか」といった声まで出ている状況だということ。
また、上記の会場整備費といった直接関係する費用だけでなく、万博開催に付随して進められている道路や鉄道の延伸、また下水道敷設といったインフラ整備もひっくるめると、なんと9兆7,000億円もかかるといった話もあるのだが、政府は「万博だけを目的にした支出とは言えない」との主張で、それらを「万博の国費負担」として含めることを頑なに拒んでいるようだ。
このように、まさに先の東京五輪の二の舞といった状況に陥っている大阪万博だけに、「明らかに無駄遣いでは?」といった計画に対しては、市民から厳しい視線が注がれるのは当然の展開といったところ。
ちょっと前までは、建設費が350億円ほど掛かるとされる木造建築の大屋根、通称“万博リング”が、その標的にされていたのだが、今回取沙汰されている“1か所2億円”のトイレも、いわゆる“万博の無駄遣い”を象徴する新たな問題として、捉えられることとなっている状況のよう。
しかも万博の会場である夢洲には、今のところ電気はもとより上下水道も通っていないということで、流石にそのあたりは開幕までには間に合わせてくると思うのだが、下手をすればトイレ自体は豪華なデザイナーズ仕様なのに実は汲み取り式……といったなんともチグハグな状況もあり得る、ともSNS上では取沙汰されているようなのだ。
万博のトイレ作るのに二億円??デザイナーズトイレ?どうせボットンなのに?
— あばばん (@avanti2000_st) February 15, 2024
万博デザイナーズ「トイレ」
1か所 2億円
上下水道の不足しているところで、派手なトイレつくって、「汲み取りかい!」ってオチ?
それも、2億円!「再生可能な社会」の真逆
「半年で壊す」
「大屋根の木なんて、穴だらけの合板だから再利用不可」ゴミの山になることくらい素人でもわかる。
— 世の中安穏なれ (@Syaku_Syodo76) February 16, 2024
いや、ちょっと待て
下水の整備が出来ないから汲み取り式の簡易トイレになるという話
トイレに行けない万博として問題だった
上物は費用かけて子綺麗でも、すぐに溢れるので処理できないという酷い状況になるのでは
金かけるところが違う https://t.co/MqBfxuhnC8— idubfish (@nonstarman) February 15, 2024
「経済効果3兆円」に眉唾物との見方
このように、膨張し続ける万博の開催費用に対しての否定的な声が止まないなか、政府や維新がこのところ“切り札”のごとく頻繁に唱えているのが、万博開催がもたらす経済効果の大きさ。
なんでも1月下旬に、アジア太平洋研究所なるシンクタンクが発表したところによると、大阪万博の経済効果は2兆7457億円と、前回試算時(23年3月)よりも3,698億円増加したとのことで、さらに最大で6,000億円程度上振れる可能性もあるとしたのだ。
会場整備費が当初想定の2倍近い最大2,350億円まで膨らみ、またそれ以上のものとなる可能性があったとしても、それで得られる経済効果は3兆円を超えるんだから……ということで、国民らの不満の声を抑えようといった思惑のようなのだが、ただこの経済効果を試算したシンクタンクには、どうやら万博協会で役員を務める人間が複数名関わっているとのこと。
この経済効果を試算した「アジア太平洋研究所」の役員には、万博協会の副会長が5人もいます。1人や2人じゃない、5人ですよ。https://t.co/JFl5YRQwqv
つまり「身内」にやらせた試算なんですね。これ、ほとんど「やらせ」みたいなもんでは? https://t.co/Cairw3VpJQ pic.twitter.com/qnI8HxMEiP
— 個人事業主(#゚Д゚)y-~~ (@boty02563682) January 24, 2024
役員を万博協会に5人も副会長を送り込んでいる利害関係者のアジア太平洋研究所の調査なんて、信用できませんよ。#万博やめて被災地救え #万博決めたん維新やろ https://t.co/wvLONO9qlE
— ポストマン #開示請求クラスタ (@postmankaiji) January 24, 2024
そもそも一般的に経済効果というものは、対象範囲をギリギリまで広げることで、算出される数字を大きくしようとするのが、ただでさえ専らといったところなのだが、そのうえこの万博の経済効果に関しては、ほとんど身内による試算ということとなれば、かなり甘々な計算になっていることは想像に難くない。それだけにSNS上からは「ほとんどやらせ」「信用できません」などと、いわば眉唾物だろうといった声が噴出しているようなのだ。
経済効果は大風呂敷を広げに広げる反面、コストはとことん低く見積もることで、国民をある意味で騙そうといった、なんともセコすぎる姿勢を政府などが取り続ける限り、今回の“1か所2億円”の豪華トイレに限らず、万博の無駄遣いに対しての厳しい指摘は収まりそうもない。
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