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だから戦争は消えない。欧米の指導層を支配する「終末論コンプレックス」の正体とは=高島康司

大戦争に自ら向かう欧米やロシア、そしてイスラエルの指導層のマインドセットを支配する終末論について書く。これは終末論コンプレックスと呼べるようなマインドセットだ。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)

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※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2025年7月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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各国の指導層を支配する終末論コンプレックス

いま世界は一層不安定になりつつあることは、主要メディアの日々のニュースを見ているとよくわかる。これから世界がどうなって行くのか、底知れぬ不安感にさいなまれている人は、 このメルマガ このメルマガ の読者にも多いのではないだろうか?

海外のメディアを見ると、第三次世界大戦は避けられないとする悲観的な論評が非常に多くなっている。特に欧米では、大戦争は避けられないとしてこれを受け入れる論調も強い。あのナチスドイツの大破壊と大虐殺を経験したドイツも、ロシアとの戦闘への準備を主張する声が、国防相からも出てくるようになった。

しかし、一歩ひいて見ると、ウクライナ戦争にしろ、ガザ戦争とパレスチナ問題にしろ、解決不可能な問題ではないことははっきりしている。

ウクライナ戦争であれば、(1)ウクライナ東部と南部4州、クリミアのロシア併合、(2)ウクライナのNATO非加盟、(3)ウクライナの非武装化 などの要求をおおかた受け入れ、ロシアと欧州双方の安全が保障される枠組みの構築に向かえばよいだけだ。

またガザ戦争とパレスチナ問題では、イスラエルがパレスチナ国家の二国家併存案を受け入れ、パレスチナ人の生存権を受け入れればよい。イランやフーシー派が支配するイエメンは、二国家併存案をイスラエルが受けれれば、イスラエルには敵対しないとしている。

現実的な解決を阻む終末論コンプレックス

しかし、いまのところ、こうした合理的な解決策は非常に難しい。

それというのも、アメリカ、欧州、イスラエルのシオニスト、アラブ諸国、そしてロシアは終末論コンプレックスと呼べるようなマインドセットに陥ってしまい、問題の戦略的な解決に向けての現実的な認識ができなくなっているからだ。

その一例を見てみよう。ガザ戦争だ。

ガザではイスラエルのジェノサイドが実行されている。食料配給所や給水所に集まった人々に、イスラエル軍は無差別に発砲し、毎日大勢の死者が出ている。2023年10月の戦闘開始以来の死者数は5万5,000人を超え、人道危機が一層深刻化している。イギリスの著名な医学雑誌、「ランセット」に掲載された研究によると、イスラエルとハマスの戦争が始まってからの死者数は、パレスチナ自治区の保健省が記録した数字よりも約40%多いと推計している。いまイスラエルが行っていることは、ナチスのユダヤ人虐殺にも匹敵する残虐行為だと言ってもよいだろう。

しかし、そのような状況にもかかわらず、宗教の終末論のフィルターを通すと、現実はまったく逆転して見えてしまう。

テッド・クルーズ上院議員のインタビュー

このマインドセットの恐ろしさは、最近タッカー・カールソンが行ったテッド・クルーズ上院議員とのインタビューで明らかになった。ちなみにテッド・クルーズは、大統領候補にもなった共和党の有力な上院議員である。支持基盤は福音派で本人も熱心な福音派である。プリンストン大学の後、ハーバード法科大学院を卒業したエリート中のエリートだ。まさにエスタブリッシュメントの一人だ。

だが、このエリートが大虐殺を行っているイスラエルをどのように見ているのか分かるインタビューの発言を引用する。

Next: 米国のエリート層はイスラエルをどう見ている?衝撃的な内容は…

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