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どうする安倍総理。米中険悪化での「どっち付かず外交」で日本は窮地に=斎藤満

ここに来て米中関係は目に見えて悪化しています。安倍首相の訪中で日中関係の親密さがアピールされたことで、日本はさらに難しい立場に追いやられています。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2018年10月31日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

安倍・トランプの絆はどこへ? 米中との距離感をどう取るべきか

険悪化が進む米中関係

29日のニューヨーク市場では、朝方久しぶりに高寄りした株式市場が、トランプ政権による中国製品すべてに高率関税を課す可能性が報じられたことを機に、株価がまた反落、長期金利も一転して下落に向かいました。11月に予定されている米中首脳会談で中国が納得のいく回答を示さなければ、12月初めまでに、中国からの輸入品5000億ドルあまりすべてに高率関税を課すというものです。

米中関係は9月半ばあたりから目に見えて悪化しています。中国軍がロシア製の戦闘機や対空ミサイルを購入したことから、トランプ政権が9月20日に中国軍事委員会の一部と幹部に制裁を科し、米国の金融システムを利用した取引を禁じたことから、両国の関係が急速に悪化しました。

特に中国の軍部の反発が強く、訪米していた中国軍司令官を急遽帰国させ、参謀本部同士の対話も延期されました。

その後、米国は南シナ海での中国軍の動きをけん制すべく、戦略爆撃機B52を南シナ海、東シナ海上空に飛ばし、さらに台湾にF16戦闘機の部品などを売却すると発表。マティス国防長官が10月中旬に訪中を予定していたのも取りやめとなりました。

それまでは通商問題も話し合いで解決できる雰囲気でしたが、今や交渉も途絶えがちです。

トランプ「(習近平は)もう友人ではないかもしれない」

10月8日に米国のポンペイオ国務長官は日韓訪問の後北京に飛びましたが、習近平国家主席はこれまでの慣習を無視して国務長官との会談をせず、王毅外相が対応、ポンペイオ長官に誤ったやり方をただすよう強く抗議しました。

これに対し、ポンペイオ長官は中国との間に「根本的不一致」があると、強い姿勢で突き放しました。

かつてトランプ大統領、プーチン大統領、習近平国家主席の間には、キッシンジャー元国務長官を核にした信頼関係と連携があると言われ、トランプ大統領は習近平主席を「尊敬する素晴らしい友人」と言っていました。

しかし、トランプ氏から「もう友人ではないかもしれない」と言われ、中国の親米外交は行き詰まり、むしろ軍部中心とした反米感情が急速に台頭しています。

Next: 日中急接近がさらに米国を刺激。安倍首相はどう立ち回るべき?

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