安倍政権を突き放すトランプ
またムニューシン財務長官は、日米2国間交渉に「為替条項」を求めると言っています。日本企業の収益を支えてきた輸出市場、為替円安の条件が脅かされる懸念があります。
日本は近年為替介入をしていないから影響はないと見る向きもありますが、米国が日銀の緩和策を円安誘導として否定したらどうなるのか。円高に戻れば企業収益の悪化、株安の懸念が強まります。
安倍総理は日米の強い絆を強調しますが、このところのトランプ政権の動きを見る限り、この「絆」は何とも心細いもので、むしろ安倍政権を突き放していると見ざるを得ない面も少なくありません。
米中の距離感をどう取るのか
日本が戦後70年余り、米国に盲従し、安全保障でも米国に全面的に依存することが、結果的に日米地位協定のような、いまだに占領下にあるような不当な扱いを受けてきたのも事実。
沖縄の基地移設や羽田の拡張増便も米軍にお伺いを立てなければ進まない状況を改善するのは急務ですが、日本の独立性を回復するうえでも、独伊のような信頼と尊厳を回復する必要があります。
ただ米国と距離を置き、ロシアや中国と多極化外交にシフトすればよいというものではありません。
米国を敵に回せば、日本の政府は1日も持ちません。あくまで日米の信頼関係を前提として、これを担保するだけの日本の信頼度を高めることで、より対等な交渉が可能になり、それが確保できたところで多極化外交が可能になります。