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「トランプ大統領」リスクを読み始めた米国~まさかの“利下げ”観測も=斎藤満

FRBが「トランプ大統領」誕生のリスクを真剣に考え始めた可能性が浮上してきました。FRBはもはや「利上げ」ではなく「利下げ」を検討しているという情報もあります。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

FRBはもはや「利上げ」ではなく「利下げ」を検討している?

英国EU離脱懸念後退でも円高

英国でジョー・コックス議員が銃撃され、死亡して以来、英国のEU離脱リスクが後退し、株式市場や為替市場には「安心」の買戻しが進んでいます。ところが、その中でドル円はまた103円台を付けるなど、円高の動きを見せています。これはEUの事情でなく、米国内にドル安を示唆する動きが出始めたためと見られます。

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そのヒントは「FRBの風見鶏」と言われるセントルイス連銀のブラード総裁発言に見られます。一頃早期利上げを主張していたブラード氏が、突然利上げは今後2年半で1回のみ、と言い始め、FRBに利上げ余地がなくなったと言います。米国の成長が2%で頭打ちになり、インフレも2%を超えずに頭打ちとの見方に変えました。この変節の背景が問題です。

FRBが備える「トランプ大統領」リスク

調べてみると、どうもFRBが「トランプ大統領」の可能性と、その場合の経済の収縮リスクを見始めた可能性が浮上しました。ブラード氏は市場との接点が多いと言われ、なかでも石油の「エクソン」とのパイプが太いと言われます。

このエクソンは石油王、ロックフェラーの系列です。ここから「ロックフェラーがトランプを支持」との情報を得た可能性です。

ユダヤ教右派もトランプ支持にまわり、米国のネオコン勢も従来のクリントン支持から、トランプ支持に相乗りしたとの情報もあります。こうした中で、FRBも「トランプ大統領」の可能性を見始め、その経済面への影響、リスクを検討し始めた可能性があります。

トランプ大統領となった場合、今言っていることがそのまま実行されるとは限らず、レーガン大統領のように、背後の国際金融資本に懐柔され、変節する余地はあります。

しかし、今の発言から類推すれば、米国の孤立化が経済を弱体化させ、低金利とドル安で米国産業の保護が必要、利上げをするイエレン議長は再任しない、ということになります。

まさかの「利下げ」も

選挙まではまだ時間がありますが、米国で大きな影響力を持つ「大御所」がトランプ支持ということになれば、これを無視できません。ワシントンからの情報でも、FRBはもはや「利上げ」ではなく、「利下げ」を検討している、とさえ言います。

世界のマネーが米国の利上げを前提にドルを買い上げてきました。その利上げができないとなれば、ドルは大きく下落します。

Next: 安倍政権もすでに認識か。広がる「利上げ困難、ドル安」のムード

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