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「小池劇場」で外国人投資家はどう動く?日本株とドル円の注目点=江守哲

為替市場~ドル円はやや割高

ドル円は円安水準を維持しています。FRB関係者からは少しずつ発言が出始めていますし、イエレン議長も利上げの可能性を示唆しています。12月利上げを何とか織り込ませたいのでしょうけど、インフレ指標次第ですので、これだけは先読みするのは難しいところです。とはいえ、やはり8月の個人消費支出(PCE)物価指数が前年同月比1.4%上昇と、伸びが3カ月連続で横ばいだったことは、ドルの上昇を抑制することになるでしょう。

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

米ドル/円 日足(SBI証券提供)

ただし、市場では、トランプ政権の税制改革を背景とした財政悪化を金利上昇と理解し、ドル高になっています。この考え方が間違っていることに、市場はまだ気づいていないのに驚きます。無論、円安を期待している日本の為替アナリストたちも同様です。本当に困ったものです。過去のデータを見れば、そうならないことは簡単にわかるのですが。

また、イエレン議長が段階的な利上げ継続が必要との認識を示していますが、これはあくまで利上げを希望しているだけであり、必ずそうなるわけではありません。それは、昨年と今年の9月にも経験済みです。それでもまだ市場はわからないようです、学習効果がないと思います。それはそれでよいでしょうし、いずれ誤りに気づくでしょう。そのときにはすでに遅いと思いますが。

政治が与える影響は軽微。為替相場は金利差で決まる

一方市場では、24日のドイツ総選挙で、極右政党「ドイツのための選択肢(AFD)」が躍進し、反欧州運動への懸念が広がったとの認識もドル高・ユーロ安につながったと判断しているようです。

しかし、このような政治が為替市場に与える影響は最終的には軽微です。為替相場は最終的には金利差で決まります。この基本的な考え方を抑えておく必要があります。

材料面で考えるのであれば、金融政策の方向性を考えるとよくわかるでしょう。欧州ではこれから政策の正常化に入ります。米国はすでに入っています。材料面では新鮮味があるのは欧州です。これは非常に重要なポイントです。

イエレン議長は「インフレ率が2%に戻るまで金融政策を据え置くのは軽率」としていますが、これこそが利上げを希望していることを示す発言といえます。しかし、すべてはインフレ率次第です。PCE物価指数が1.4%では利上げは難しいでしょう。

今の水準はやや円高

一方、ドル円で考える場合、日本のCPIも見なければなりません。8月の全国消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.7%上昇となりました。プラスは8カ月連続です。以前にも解説したように、日本のCPIは米国に遅れて上がります。まさにシナリオ通りです。

しかし、これは日米実質金利差でみると、日本の実質金利が下がりますので、理論上はドル高・円安になりやすくなります。とはいえ、9月末の理論値推計は110.70円程度です。したがって、今の水準は理論値からすればやや円高です。この点は理解しておく必要があるでしょう。

Next: 結局、米国のインフレ率が大きくなれば「円高」になる

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