マイナンバー対策の「タンス預金」は有効なのか?
マイナンバーの導入によって、預貯金の動きを監視されるのは嫌だから、お金はタンス預金にしておこうと考える方もいらっしゃると思います。預金をタンス預金にすると、実際のところどうなのでしょうか?
まず、タンス預金とは、ひと言でいうと預貯金口座に入金していないお金です。つまり、自宅にあるお金のことを言います。タンス預金という名称ですが、もちろんタンスに入れなくても自宅にある金庫に保管している現金があれば、それはタンス預金とみなされます。
ちなみに日本のタンス預金の総額は、30兆円から80兆円と言われております。政府としては「このお金をなんとか使ってもらおう」と、数年前から生前贈与を斡旋しています。新設された贈与制度としては、教育資金の一括贈与贈与や結婚・子育て資金の一括贈与などが挙げられます。
しかし、このような贈与を子供や孫にするにも、専用の口座を開設しなければならず、贈与されたお金の使い道についての領収書をいちいち提出しなければならなかったり、贈与を受ける子供や孫が一定の年齢になれば、残高に贈与税が発生したりと、そう簡単に浸透するものではないような気もします…。
また、マイナンバーの導入によって預貯金口座の出入金がすべて監視されるようになることによる懸念や、マイナス金利による金利の低下を嫌う方々によって、銀行にお金を預けていても良いことがないという理由から、家庭用金庫が売れまくっているそうです。
本来タンス預金は相続税の課税対象となりますが、実際のところ、税務署からタンス預金の存在を把握されなければ、相続税の課税を免れることができます。
しかし、このような対策が本当に上手くいくのでしょうか? また、税務署がタンス預金を把握することは本当にできないのでしょうか?
結論から申し上げますと、タンス預金が税務署に把握されずに済む確率は、かなり低いと考えた方が良いでしょう。
以前、相続税における税務調査についても解説しましたが、税務調査の対象になりやすいポイントのひとつに、タンス預金があるのではないかと疑われるという点が挙げられます。