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「金持ちになる読書」vs「貧乏になる読書」何がそこまで違うのか?=午堂登紀雄

読書に逃げてはいけない

一つの技を学んだら、繰り返し繰り返し練習して、無意識でも反応できるくらい自分の血肉にすることです。作家の宇野千代さんが「才能とは、絶え間なく続く繰り返しに耐えられること」と言っていた通り、何度も何度も練習する。

コミュニケーションや人脈術の本を読んだら、実際に人に会って使ってみる、もちろん最初からうまく出来る人の方がまれで、うまくいかないかもしれない。なら、シチュエーションや自分のスタイルに修正しながら、少しずつ自分の型をつくっていく。

読書をしても、セミナーに参加しても変わらない人というのは、新しい技を学んだらそれに満足し、練習しないで次の新しい技の学習に走るからです。いわゆる勉強オタク、自己啓発オタクと呼ばれる人です。本を読んでばかりだと練習時間がとれませんから、これでは技が身につくはずがありません

そうなる理由も簡単です。練習するより学習する方がラクだからです。考え実践するより、文字を追うだけの方がラクだからです。本来やるべきことの「逃げ」の手段として読書をしている人が大多数なのです。

ただ字面を追うことはできるし、内容に感心したり共感したりすることはできます。でも、自分に応用しようと考えることは面倒くさい。実践することはもっと面倒くさい。

誰でもラクな方がいい。だから読書に逃げる。読書して勉強しているフリをする。自分は努力していると思い込もうとする。

本を読んでも、それは本に書かれた文字を頭の中で認識しただけのこと。「仕事の実力」は、仕事をすることによってしか、身につかないのです。

仕事術の本は、仕事を必死にやる人だけがモノにできる

以前読んだときには「たいしたことないな」と思っていた本が、数年後に読み返すと「すごく良い本だった」という経験はないでしょうか。

実務を経て成長することによって、さらりと書かれてあることが自分の経験と結びついて、より納得感や気づきにつながることがあります。

逆に、昔読んだときはすごく感激したけど、今読むとそれほどもでないなあと感じることもあると思います。それはあなたが成長しているからです。

仕事術の本を読む人は向上心のある人だ、と一般的には思われていますが、私はちょっと異なる感想を持っています。

向上心というよりも、「ラクして能力が高まる期待をしている人」「今の状態から抜け出す方法を自分で考えるのが面倒な人」ではないか。

漠然とした不安感が、目の前の仕事ではなく、仕事術の本に向かわせるのでしょう。確かに読めばなんとなく賢くなった気分にさせてくれます。

知っていることがあれば、著者と同じレベルに追いついた気がします。「がんばっている自分」に酔うことができます。読書をしている間は不安感から逃れることができます。でも読んでしばらくするとまた不安になるので、次々と仕事術の本を読んでいくことになります。

年齢の問題ではないかもしれませんが、実務経験が浅いと、表面的なテクニックしか学べず、その根底に流れる著者の哲学や思考体系を得ることが難しい。そういう人たちが、「そんなことは知っている」と、次々とビジネス書をジプシーのように読み歩くのでしょう。

しかし、ヌルく仕事をしている人が、仕事術の本を読んでも、仕事ができるようにはならない。自分がどう生きたいかという戦略を描いたら、あとは脇目もふらず邁進するだけ。それが不安を払拭する最優先の方法だと思います。

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