ロシアと戦闘状態にあるウクライナ。日本は2000億円以上を支援して感謝されているが、企業進出や観光客は少ない。一方、中国からの投資や企業買収は急速に進んでいる。(浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』浜田和幸)
※本記事は有料メルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』2018年4月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
国際政治経済学者。前参議院議員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。『ヘッジファンド』『未来ビジネスを読む』等のベストセラー作家。総務大臣政務官、外務大臣政務官、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会委員、米戦略国際問題研究所主任研究員、米議会調査局コンサルタントを歴任。日本では数少ないフューチャリスト(未来予測家)としても知られる。
国交樹立25周年を迎える日本とウクライナ。支援は感謝されるが…
今なおロシア軍との戦闘が続く
ぶっちゃけ、ウクライナの置かれている状況は厳しい。
旧ソ連邦時代には最大の穀倉地帯を誇り、ロケットやヘリコプターなど科学技術も進み、最も豊かな地域であった。
しかし、ソ連が崩壊して独立したウクライナは、欧州共同体への加盟を目指し、欧米諸国との関係強化に邁進した。
そこまではロシアも容認していたのだが、ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)という軍事同盟への参加を模索しはじめたため、ロシアから軍事介入という強硬手段をぶつけられることになった。
黒海に面したクリミア半島の領土を奪われ、今でもウクライナ東部ではロシア軍との間で戦闘が続いている。
「現状を力で変更する」というロシアの動きは国際的な非難を浴び、アメリカもヨーロッパの主要国もこぞってロシアに対する経済制裁を課すことになった。
すると、ロシアはウクライナに対する石油やガスの供給をストップしてしまった。
そのため、ウクライナはかつてない危機的状況に陥いることに。
日本がウクライナを全面支援
そこで日本政府は西側諸国の中では最大規模の経済・技術支援を展開。その額はすでに2000億円を超える。
昨年、日本とウクライナは国交樹立25周年を迎えた。そこで、ウクライナ全土1000か所を舞台に「日本年イベント」が開催され、日本食や日本文化の紹介が行われ、多くのウクライナ人の参加を得たものだ。
また、首都キエフの下水処理は日本の支援で整備され、全土の警察車両(パトカー)は全て日本が寄贈した日本車である。
そうした背景もあり、ウクライナでは日本への関心と感謝のうねりが高まっている。
しかし、ロシアとの戦闘や治安を懸念する日本企業の進出や日本人観光客は極めて少ない。
その一方、リスクを承知の上での中国からの投資や企業買収は急速に進んでいる。
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