GPIFの常識は世界の非常識
今回は、過去10年間のパフォーマンスの状況を詳細に公表するとのことで、その精査に時間がかかっているとしています。
しかし、そんなものは、最初から決まっているのであれば、すぐにできるはずなのです。
まして、運用というのは、保有している資産の現在価値を常に時価評価して把握しておくのが、運用の世界では常識です。このグローバルスタンダードと完全にかけ離れた、むしろ逆の姿勢で運用管理を行っているのがGPIFということになります。
私もヘッジファンド運用をしていたからよくわかるのですが、3月末時点の運用成績を7月末に出すなどというのは、運用者としてはあり得ないことです。
それは、意図的に遅らせているか、それとも運用状況を精査できないほど体制が貧弱であるかのどちらかです。もちろん、今回のケースは前者でしょう。
先が思いやられる年金運用の将来
国民の大事な年金が運用されているのですが、その運用成績の発表が政治的な都合で遅れる。ひどい話です。一般の運用業界の話であれば、即座に投資家は資金引き上げを行います。そのような運用者には、安心して資金を預けることはできません。
日本の年金運用の大本尊がこれではお話になりません。日本の年金運用の体制の将来が思いやられます。
日本の運用業界は世界に比べて大きく遅れています。そして、年金運用も同様というわけです。とても残念ですね。
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『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』(2016年4月18日号)より一部抜粋
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株式・為替・コモディティなどの独自の市場分析を踏まえ、常識・定説とは異なる投資戦略の考え方を読者と共有したいと思います。グローバル投資家やヘッジファンドの投資戦略の構築プロセスなどについてもお話します。さらに商社出身でコモディティの現物取引にも従事していた経験や、幅広い人脈から、面白いネタや裏話もご披露します。またマーケット関連だけでなく、野球を中心にスポーツネタやマーケットと野球・スポーツの共通性などについても触れてみたいと思います。