投機目的で物件を見ぬまま購入
ただ、このコロナ禍で、物件の見学ができないそうです。
渡航制限で訪日できないため、日本の代理人を通じた“オンライン視察”で物件の確認を行っているとか…。
中国や香港の投資家は、日本で宿泊施設を経営したいという思いがあるのではなく、あくまでも投機が目的だと思われます。
中国に不動産を仲介する会社の方の感覚での話ですが、相談件数の6割程度は投機目的ではないかと思われるとしています。
投資家が複数集まって、お金を出し合って日本の旅館を買うこともあるそうです。
以前はただ和風の物件を求めていたものが、今は1人1泊4万円など4つ星クラスの高級旅館にニーズがあるそうです。
実際、コロナで価格が下がった高級旅館はたくさんあるのでしょう。
一般受けを狙う物件から玄人受けするコアなものまで、中国人投資家は物色しているとのことです。
宿泊業施設の倒産件数
倒産といっても老舗旅館ばかりではなく、東京オリンピック・パラリンピックを見込んで建てたものや、宿泊部屋を拡張した施設や、あるいはインバウンド需要を見込んで建てた施設もあるでしょう。
「GoToトラベル」事業も、昨年末で停止しています。
今年1月に入って、再度、緊急事態宣言が発出され、特に都市部ではコロナの感染者数の増加に伴い予約のキャンセルが相次ぎ、京都などの人気観光地エリアにおいては客室稼働率が10%台まで低下したホテルもありました。
東京商工リサーチによれば、2020年の宿泊業の倒産件数(負債額1,000万円以上)は、2019年比57%増の118件で、7年ぶりの高水準だったそうです。
不動産サービス大手のジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)によると、投資家の2020年の日本のホテルへの投資額は62%減の2,170億円でした。
コロナに苦しむホテルや旅館にとって、日本企業より高値で買ってくれる中国マネーは魅力的にうつる…。
そう報じられていますが、それも当然でしょうね。
国が日本の宿泊施設を守ろうとはしないわけで、いくらかでも高く売りたいわけですから、しかも少しでも早くお金を手にしたいでしょうからね。
帝国データバンクが公表しているデータを見てみましょう。
2020年度の宿泊業者の倒産件数は前年度比66.7%増の125件となり、増加率が過去最高となりました。
125件のうち、新型コロナウイルスの影響による倒産は72件、全体の57.6%を占めました。
倒産件数は、リーマン・ショックの影響を受けた2008年度(131件)、東日本大震災後の2011年度(130件)に次いで過去3番目の多さです。
新型コロナウイルスの影響で、インバウント需要が激減、緊急事態宣言の発出や外出自粛の影響により2020年度上半期の時点ですでに73件発生しており、前年度(75件)の倒産件数に差し迫っていましたが、下半期は「GoToトラベル」や雇用調整助成金など支援策が奏功し、52件に留まったようです。
業態別では「ホテル・旅館」(117件)が最多となり、前年度比で約1.7倍の増加となりました。
コロナ禍でインバウンド需要が激減し、緊急事態宣言後に宿泊予約のキャンセルや施設の休業で、経営が立ち行かなくなったケースが目立つようです。
宿泊業は設備投資費用や人件費が嵩み、多額の有利子負債を抱える業者が多く、インバウンドや東京オリンピック・パラリンピックに向けて新規開業や施設の改修を行っていた宿泊施設は大打撃を受けています。
記憶に新しいのは、飛行機のファーストクラスをイメージしたコンパクトホテルの運用を手掛けるファーストキャビン(東京・千代田)が2020年4月24日、東京地方裁判所に破産を申請したことです。
インバウンド特需を狙った競合の新規参入による過当競争にさらされ、2018年3月期の最終損益は2億3,700万円の赤字に落ち込むなど、経営は苦戦を強いられていたところに、新型コロナウイルス感染症の拡大が追い打ちをかけたようです。
負債約11億3,000万円の破産でした。その後の「簡易宿所」が増加した要因となったと言われていますね。