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東京都の貯金、1兆円→21億円に激減で“増税”待ったなし。都知事選前の協力金「大盤振る舞い」も影響、行政サービス低下を危惧する声

一時は1兆円近くあった東京都の“貯金”が、2021年度末時点で21億円になる見通しと報じられ、都民を中心に衝撃が走っている。

地方自治体にとっての貯金にあたる「財政調整基金」。東京都の財政調整基金はコロナ禍以降、休業・時短に協力した飲食店への協力金や、新型コロナのワクチン接種の加速のために組まれた補正予算に充当された影響で、その残高は20年度末で2,511億円となる見込みとなっている。

いっぽうで、21年度末の財政調整基金の残高は、先月7日に21年度補正予算が編成され専決処分された段階では約830億円となる見通しだったものの、その後に緊急事態宣言の再延長が決まり、それにより残高は先述の通り21億円の見込みと、20年度末の残高から99%減となる格好となった。

都知事選前の協力金「大盤振る舞い」が影響か

「934万円あった貯金が残り2万1000円になる感覚」との投稿もあるなど、財政調整基金のあっという間の目減りぶりに驚きの声があがったネット上。いっぽうでは、小池都知事が選挙の際に掲げた公約「7つのゼロ」になぞらえて「貯金もゼロ」との声もあがるなど、様々な反応が飛び交う格好となっている。

振り返れば、昨年5月に緊急事態宣言が約1か月延長された際に、小池都知事は休業・時短に協力する飲食店への協力金追加支給のため、1,000億円規模の予算をすぐさま用意し、他道府県の首長などを羨ましがらせたということもあった。その直後に控えていた都知事選を睨んでの「大盤振る舞い」との声もあったが、それができたのも首都ならではの税収の多さもさることながら、1兆円近くあった財政調整基金の存在もかなり大きかったのではと思われる。

ところが、コロナ禍が当初の目論見を遥かに超えて長引いたことで、税収が大幅に落ち込む見通しなうえに、虎の子の財政調整基金もみるみるうちに目減り。先月行われた全国知事会では、小池都知事から「このままですと、協力金の支給は事実上不可能」との悲痛な声まで飛び出すなど、その状況は一変してしまった。

となると、2021年度は緊縮予算となるのかと思いきや、7兆4,250億円と過去2番目の規模となるようだ。

当然、コロナ対策や延期された東京五輪・パラリンピックの経費がかさんだ、という事情もあるようだが、国際金融都市や無電柱化といった小池都知事がかねてから推進する事業も項目として並ぶなど緊縮とは真逆の内容で、野党議員からは「都議選を意識したバラマキになっていないか」との指摘も。こうしてみると、昨年の「都知事選」に今年の「都議選」が続いたことが、財政調整基金の大幅目減りも含めた都財政の悪化に大きく作用したとの見方もできそうである。

今から危惧されるコロナ後の「増税」

このような財政調整基金の目減りだが、決して東京都だけの話ではなく、47都道府県全体では、2019年度末からの1年で3分の1になったという報道も。財政調整基金の残高不足が続くと、突発的な災害が起きた場合に緊急の財政措置が困難になる可能性もあり、さらに税収不足も相まれば教育や福祉に充てる財源にも影響が出るなど、行政サービスの低下も想定されるという。

また、一度大きく落ち込んでしまった税収が、以前の水準に回復するまでには、数年はかかるといった見方も。ここ近年は財政が豊かとされていた東京都だったが、この調子では一転して借金体質に陥いる可能性もあるのだ。

ネット上では今後大いに考えられる増税に対して、戦々恐々といった声も。ワクチン接種が急ピッチで進むなか、それによって新型コロナの感染拡大が収束へと向かったとしても、東京都の経済的苦境は当分の間続きそうな情勢だ。

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