今年に入ってからニトリの株価が不調で、今も安値を更新する水準となっています。なぜニトリ株は調子が悪いのか、そして今は買い時か?今回はニトリのビジネスと成長性を分析・解説します。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
何が起きた?ニトリの株価が冴えない
今年に入ってからのニトリの株価の推移ですが、年初には2万3,000円ほどあったものが、今は1万9,000円割り込むというところまで値下がりしています。

ニトリホールディングス<9843> 日足(SBI証券提供)
年初来の下落率は11.25%となかなか冴えない展開です。
ニトリというとコロナ禍で在宅ワークが増えて、様々な家具を買い足すということで、業績としては絶好調でした。
それに伴って株価も上がってきたのですが、今ピークを越えて値下がりの谷に入ってしまっているというところです。
コロナ特需を超えるのは難しい
数字にもそれが表れていまして、これがニトリの月次売上高の推移です。
特にニトリのようなの小売業というのはこのように月次の売上高を開示しているところが多くて、投資家もこれを見て機敏にその投資行動に反映してきます。
どこを見るのかというと、この既存店の売上高を見ることが非常に多いです。
これを見ることによってその会社、そのお店の好不調がよく分かります。
これを見ますと3月が94.2%です。
100%を下回ると前年割れということになりますが、3月が100%割れ、4月は超えましたが、5月がまた100%割れということで前年より振るわないというところがあります。
これはひとつには、前年が少し高すぎたというのがあると思います。
コロナ禍で在宅ワークが増えて慌てて家具を買い足さなければならないといった中で、売り上げが伸びていたということがあります。
今年もコロナは続いているのですが、昨年ほど慌てて買い足すような状況ではなかったということがひとつにあると思います。
5月の水準まで出ていますけれども、これから6月・7月・8月と入っていきます。
昨年の売上高の推移ですが、6月が147.5で50%増、7月が122、8月が115と、かなり特需的に売上高が伸びてきたことが分かります。
しかし先ほども言いました通り、今年も同じだけの需要が見込めるかというと、必ずしもそうではないという風に考えます。
そして、この6月・7月・8月も月次の売上高が出たということになると、おそらくほぼ確実に前年割れというところになるわけです。
そして株価は短期的に見れば前年割れということになれば、やはり株が売り浴びせられるというケースが非常に多いわけです。
これから先の状況というのを想定しますと、前年割れで株が売られて株価が下がるパターンというのを多くの投資家が想定しているのではないかと思います。