<ポイントその3:バリエーション>
バリュエーションというと、PERとかPBRとかそういった指標です。
株価下がったからと言って、PERが50倍から30倍に下がったのでは、実はまだ決して割安とは言えなかったりします。それまでが上がり過ぎていただけで、上がりすぎた株というのは行くところは行くのですが、トレンドが転換したら今度はどこまで下がるか分からないという恐怖があります。そういった銘柄からは、むしろいち早く逃げなければなりません。
長期投資の観点から言えば、いくら下がったと言ってまだまだ下がりきっていない銘柄に逆張りをするというのは、愚の骨頂です。逆に下がってもうこれ以上は下がりそうもないぐらいPERが10倍を切っていたり、そういった銘柄だったら、非常にチャンスが含まれてます。
ちなみにPERですけれども、目先のPERだけを見ると、一時的に業績が悪化している企業の場合は、表面的なPERは高くなっているかもしれません。しかし、過去に振り返って今期だけが業績が悪化しているとしたら、その前の期に振り返ってみて、前の期の利益に対するPERで見たら実は割安に見えるという企業も存在するかもしれません。
したがって、表示されているものだけではなくて、ちゃんと業績を振り返って、その企業が本来出せる利益に対してPERが何倍なのかというところを見極めて、そこに旨みを見出すというのがこの長期投資の醍醐味ということになります。
そこまでやって初めて、逆張りをする意味があるということになります。
「逆張り投資」3パターン
逆張り投資で必ずチェックすべき3つのポイントとして、「株価の位置」「業績」「バリュエーション」と挙げましたが、そこまでやるのはすごく難しいと思われるかもしれません。
しかしポイントとして押さえるべきなのは、私は3つのパターンがあると思います。
<逆張りを狙えるパターンその1:個別銘柄の下落>
まず1つ目は、個別銘柄の下落です。
ある特定の株が不祥事とか、業績の悪化などで下落する場合があります。これはその企業をつぶさに分析することによって、その不祥事や、業績の悪化が問題ないかどうかということを見極める必要があります。
これは実はけっこう難しかったりします。表に出ている公開情報だけでは、本当にその企業が大丈夫なのかどうかというのは、見極めることは難しいです。
いま株価が下がっているのも実は先に悪い情報を得た人たちが我先にと売っているから下がっているかもしれない、そんな中でどんどん買い向かうというのは危険なことだったりします。
もちろん自分で分析する限り問題ないと思うならば、一部だけ買ってみるというのはアリかもしれませんけれども、どこかで心配事があるのではないかという風に警戒していたほうがいいかもしれません。
私も過去にこういう経験をしていて、実はスルガ銀行を買っていました。何故ならアパートローンというのが全体の占める割合が低いと思っていて、開示情報でもそういうふうに書かれていました。
しかし実際は書かれていたものよりもたくさんのアパートローンがあったということで、結局、それらの不安を反映して株価が大きく下がっていきました。そしてついに日経でそのアパートローンがものすごく大きいということが出た瞬間に、株価はストップ安まで下がりました。
個別株はそういった情報があったりするので、それほど難しいものなのです。
<逆張りを狙えるパターンその2:セクター全体の下落>
ではどうしたらいいのかというと、個別株より良いパターンとしては、2つ目のセクター全体の下落というのがあります。
実は株式の世界にはなぜかセクターローテーションというのがあって、あるセクターが上がったら、あるセクターが下がる。相関性があるわけではないのですが、上がっているセクターと下がっているセクターが順繰り順繰り回っています。
そんな中でいくら良い企業であっても、たまたまそのセクターにいたからつられて下がっている企業というのも存在します。そのつれ安した企業の中には、実はとんでもない優秀な企業が含まれていたりします。
なので、私のやり方としてはその時々で一番株価の見通しが暗いセクターの中から、最良の企業を見つけ出して投資しておくというやり方があるのではないかと思います。
そうすれば、そのセクターローテーションによって、いろんなセクターの一番素晴らしい銘柄を安い時にせっせと買うことができるわけなんです。
こうすることで下落局面にも非常に強いポートフォリオを作ることができます。またセクター分散というのも最終的にできますから、リスク分散効果もあります。
時系列の中でこういった買い方をしていけばまず失敗することはないのではないかと思います。
しかもインデックスよりもかなり安い価格で買っているので、インデックスに勝ちやすいというところがあります。