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PayPay手数料1.98%に「意外に安い」の声も離反は止まらず?進退に悩む中小店、客の“遠慮”で現金払いに逆行の可能性も

QRコード決済大手の「PayPay」が、これまで無料だった中小の加盟店の決済手数料を有料にすることを発表し、小売業経営者の間で波紋が広がっている。

報道によると10月1日以降の決済手数料は1.98%となるが、月額1,980円(税別)の「PayPayマイストア ライトプラン」に加入すれば、手数料が1.6%に下がるという。

PayPayのQRコード登録者は現在4,100万人超。中小事業者の手数料を無料にすることで加入者を増やしてきたが、多額の営業費用がかかったため、2021年3月期の営業損益は700億円を超える赤字となっている。

月額プランの“損益分岐点”は?

今秋からの手数料有料化が噂され、その手数料の料率が注目されていたPayPay。ふたを開けてみれば、「PayPayマイストア ライトプラン」加入で1.6%、未加入なら1.98%と、クレジットカードの手数料が2.5~3%台後半、他のQRコード決済が2~3%程度と考えれば、比較的安価な料率設定となった。

いっぽうで、これまでPayPayに加盟していた店にとって気になるのが、月額料金がかかるものの決済手数料が下がる「PayPayマイストア ライトプラン」には、加入したほうが得なのか否かという問題。これに関しては、単純に手数料利率と月々の料金で考えたところ、どうやらPayPayでの決済が月に50万円台後半ぐらいかそれ以上なら、加入したほうが得になるようだ。

もっとも「PayPayマイストア ライトプラン」に加入すれば、手数料が下がる以外にも、PayPayアプリ上にストアページを作成できたり、さらにクーポンの発行もできるなど、集客面でのメリットもあるようで、単純に支払金額の多寡で比較するのは難しそうである。

さらに現在、この月額プランを契約すれば、最大6カ月間に渡って決済金額の3%をプレゼントするキャンペーンも実施しているとのこと。PayPayでは、このことを広く周知させるために、加盟店に向けたTVCMを大量に流している模様で、手数料有料化による加盟店の流出も大いに想定されるなかで、その引き留めに相当躍起になっているようだ。

中小店舗にとっては留まるも退くも苦難?

とはいえ、特に中小の小売店や飲食店にとっては、クレカや他のQRコードよりも決済手数料が安いものの、長引くコロナ禍で売上が落ち込むところがほとんどといったなか、数%とはいえ手数料の負担増は、大きな痛手となりそうだ。

また、PayPayをはじめとしたQRコード決済で支払うと、店側は決済手数料で損をするということが周知されれば、利用者の間でキャッシュレス決済を遠慮する動きが出てくる可能性も。キャッシュレス化の推進は政府も肝いりの施策だが、それが後退することも大いに考えられるのだ。

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しかし、だからといって以前のような“現金商売”に戻そうにも、最近は銀行で小銭を両替してもらうにしても、結構な手数料を取られてしまう時代。現状ではゆうちょ銀行が手数料ゼロで扱っているようだが、こちらも2022年1月17日からは手数料を新設すると、今年7月に発表したばかりだ。

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今回発表されたPayPayの「手数料有料化」に対し、中小店舗はどのような対応を取るのか。ネット上では「撤退」「継続」両方の声が見られるが、一度は撤退したとしても集客の問題で舞い戻る店舗も多くなるのでは、といった意見も。それだけキャッシュレス決済が世の中で浸透し、それ無しでは最早商売が立ち行かないだろうといった見立てだ。

このように中小店舗にとっては、まさに留まるも苦難、退くも苦難といった状況で、今後どうするかで大いに悩むところか。ただ、決済手数料の有料化は今年10月からということで、そう悠長に悩んでもいられないところだろう。

Next: 「コロナの世の中で現金のみに逆戻りするのも…」

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