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業務スーパー時価総額1兆円超えの裏に“非常識”な3つの強み。「食のユニクロ」はどこまで成長するか?=馬渕磨理子

なぜ個性ある商品を生み出し続けることができるのか

「業務スーパー」と言えば、ユニークなプライベートブランド(PB)商品の展開でも有名です。

「牛乳パックデザート」と言われる、牛乳パックに「水ようかん」「杏仁豆腐」「珈琲ゼリー」などを入れて冷やし固める面白さからファンも多く、SNSではアレンジレシピなども紹介されています。

実は、この「牛乳パックデザート」のような、PB商品は「業務スーパー」の柱となっています。

2020年10月期を初年度とする、3カ年の中期経営計画の基本方針では、「PB商品を強化し、基幹事業である業務スーパー事業の拡大を目指す」を1番に掲げていることから、PB商品の強化は、同社のカギだと言えます。

神戸物産では現在、季節限定商品を含めて約300アイテムのPBを展開しており、PB比率は33.01%で、その数は増え続けています。

神戸物産は、PB商品を製造するために、ノウハウを持つ工場を次々と買収しています。これによって、本部で開発した商品を、傘下に置いた工場で製造するサイクルを生み出しています。

今後、このサイクルをさらに拡充することで、競合との差別化を図り、業務スーパー事業を拡大させていく考えです。

「工場を手に入れる」。これが、個性あるPB商品力の生命線となっています。

小売りチェーンは「工場を持たない経営」が理想とされてきた中で、神戸物産は経営不振の工場を買収して再生し、大容量で低価格の独自商品を生産する道を選び、成功を収めています。

業界のあたりまえを覆す「非常識力」がむしろ強みとも言えます。

特に、同社のM&Aは、基本的には取引先で経営不振になった企業の工場などを救済する形が多く、そのため、元手がかからず、業務スーパーのことを理解している工場と直接取引ができるというメリットがあるようです。

直近でも、続々と工場を買収しています。

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2020年4月に岡山県のスイーツ工場を取得、7月に神奈川県で食肉加工工場、2021年1月に宮城県で食品製造工場を稼働させたことにより、国内のグループ工場数は24工場に。食品スーパーとして、その所有数は日本最大級です。

それらの工場で、業務スーパーにしかない「オリジナル商品」が生み出されています。

Next: フランチャイズ展開も“非常識”、ロイヤリティは仕入額のたった1%

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