衆議院選挙に安倍色は不利
そして、岸田内閣の力が最初に問われる場となるのが、次の衆議院選挙です。これは総裁選挙と異なり、党内力学ではなく、国民世論がモノを言います。
その点、党内に世論の評価が高い石破氏や河野氏、小泉氏を抱え、河野氏を党の広報担当にあてましたが、岸田政権が彼らを冷遇し、人事面で安倍・麻生陣営を前面に出した政権であることを示してしまいました。
これは岸田政権に「新しい血」を期待した国民には失望を買う要因で、政治を私物化し、悪事をことごとく隠ぺいした安倍政権の影が、岸田政権の裏に映っています。
これは選挙にはマイナス要因になります。実際、このところの地方での補選や横浜市長選挙では与党が推す候補がことごとく敗北しています。
野党は国民に人気の河野政権にならなかったことに勇気づけられ、小沢一郎氏と共産党の志位委員長とが選挙のための連携を進めています。
「自民党を変える」「新しい自民党に生まれ変わる」と言った岸田氏の意向とは裏腹に、トリプルA色の濃い、実質安倍政権の様になってしまった岸田政権には、国民は厳しい評価を下す可能性が高くなりました。
このままでは、与党は60議席以上減らすとの分析も見られます。
岸田政権独自の経済対策を打てるか
こうした下馬評を覆すためには、早急に岸田政権による独自の経済政策を打ち出すことです。
高市政調会長の下でアベノミクスの延長策を打ち出すだけでは、得点にはなりません。当初の意向通り、「分配なくして成長なし」を打ち出せるかどうかが、1つのポイントになります。
消費者をないがしろにして企業本位の政策を9年も続けてきたツケが、日本経済の凋落をもたらしたことは明白です。
問題は、どうやって労働者の分配を高め、所得を増やすかです。
岸田氏が「令和の所得倍増」と言っても、この30年間、日本の所得は増えていないという異常な状況を打開するには、それなりの変革が必要です。