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まるで岸田“第5次安倍”内閣。世論無視で麻生・安倍の色くっきり、衆院選で国民の審判下る=斎藤満

自民党総裁選で圧倒的な差をつけて勝利した岸田文雄氏。安倍・麻生vs二階・菅の代理戦争で、安倍氏側が圧勝したという結果です。さっそく党内・閣僚人事を発表した岸田首相ですが、安倍・麻生色の強い「第5次安倍内閣化」が見られます。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2021年10月4日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

自民党総裁選は「安倍・麻生陣営」の勝利

自民党総裁選挙は、予想外の岸田大勝となりました。

その裏では、「安倍・麻生陣営」vs「二階・菅陣営」の戦いとなっていて、安倍陣営が大勝したことになります。

安倍前総理は電話・SNSを駆使して高市支援に奔走したと言います。最終的には安倍陣営に敵対する「小石河」(小泉・石破・河野)軍団を排斥すればよかったわけで、岸田総裁でも十分にらみが効くと見ています。

「人の話をよく聞く」性格が災いした岸田人事

実際、決選投票では高市票が岸田候補に流れたわけで、岸田総裁は安倍・麻生陣営には相応の「論功行賞」を示す必要があります。それが早速、党三役人事に反映されました。

岸田氏は選挙中、自分のセールスポイントとして、「人の話をよく聞くことだ」と言っていました。問題は「誰の話をよく聞くのか」です。

今回の党3役人事では、麻生大臣とよく相談したと言います。そこには当然、安倍氏の意向も強く反映されます。岸田氏のこの「人の話をよく聞く」性格を最初に反映したのが、この人事といえます。

幹事長に麻生派で安倍氏にも近い甘利氏、総務会長に安倍氏が所属する細田派で福田元総理の長男で当選3回の福田達夫氏、政調会長に無派閥ながら安倍氏が推す高市氏の配置となりました。

さらに官房長官に、松野元文部科学大臣が就任しました。彼は安倍氏が所属する細田派の議員で、しかも安倍総理(当時)が「もり・かけ」で攻められているときに、文部科学大臣として、安倍総理を守った張本人です。

閣僚人事でも、事前に麻生財務大臣に退陣してもらうために、彼を党副総裁に就任させ、財務大臣を麻生氏の義理の弟、鈴木俊一氏にするとの条件闘争をしたと言います。実質的に、財務省は麻生大臣の院政が敷かれることになります。まさに実質第5次安倍内閣を思わせる陣容となりました。

このままでは岸田政権が政策を決める場は、永田町・国会議事堂ではなく、渋谷区富ヶ谷(安倍私邸)と松濤(麻生私邸)となり、官僚は渋谷通いを余儀なくされます。

Next: 安倍・麻生の色は抜けず。国民世論とかけ離れた自民党内世論

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