「家庭教師のトライ」などを展開する教育関連会社トライグループが、イギリスの投資ファンド「CVCキャピタル・パートナーズ」が買収すると報じられ、大きな話題となっている。
報道によるとCVCキャピタル・パートナーズがトライグループのすべての株式を取得し、買収する方向で最終的な調整に入っているといい、買収額は1,100億円規模にのぼるとみられている。
「家庭教師のトライ」や「個別教室のトライ」などの名前で家庭教師の派遣や個別指導塾を全国的に展開しているトライグループは、去年5月までの1年間の売り上げは410億円と、業界でも上位に位置する。また株式は上場しておらず、創業者らがすべての株式を保有している。
1,100億円規模に「そこまでの価値が?」の声
現在のトライグループの社長が、郷ひろみの元妻だった元俳優の二谷友里恵さんだったことにも、改めて驚きの声があがっている今回の件。
1,100億円規模という、破格ともいえる買収額にもかなりの注目が集まっているが、その反面で「そこまでの価値があるのか?」といった声も、ネット上からは聞こえてくる状況だ。
家庭教師のトライ、英ファンドが1100億円で買収:日本経済新聞
家庭教師のトライに1100億円もの価値が有るんだ…そこに驚き。結構な収益力があるって事??少子化で塾経営が苦しくなる中、やるもんだね。子が少ないから金は掛けるだろうな…しかし、子供は激減なのに…。https://t.co/XalQ46L8DO— CIM / コンストラクションインベストメントマネジャーズ株式会社 (@CIM_coltd) October 11, 2021
トライってアルバイトへの給与未払いとか、教育をアルバイト丸投げしてるからそんな価値あると思えないですけど(笑)
家庭教師のトライ、英ファンドが1100億円で買収:日本経済新聞https://t.co/xtjwA48iXy
— Nabeo@一燈照隅•万燈照国✨ (@nabeokuribito) October 11, 2021
トライに1100億円の価値はないだろ。明光か京進の下くらいのイメージなんだがな。
— 高円寺兄弟さん。 (@koenji_kyodai) October 11, 2021
富山大学の学生が作った家庭教師教育サークルを前身とし、1990年に設立されたトライグループだが、1999年には早々に全国47都道府県への直営拠点展開を果たすなど、その経営規模を急速に拡大。
過去にそんなトライで家庭教師のアルバイトをしていたという人も結構多いようだが、そこから聞こえてくるのは「バイトの時給、恐ろしく安い」「中抜きするだけの会社」といった声。また保護者側からは「費用が高い」「講師の質にブレがある」との声も多いようだ。
最近では『アルプスの少女ハイジ』の映像を用いたインパクトのあるテレビCMの集中投下で、全国的な知名度を得たトライグループだが、その分のしわ寄せは、同業他社と比較して高価な授業料や講師への報酬に反映されているようだ。
予備校に比べて講師の質が振れる(バイトの大学生次第)し、事前準備にかける時間もバラバラ、ノウハウの蓄積もない家庭教師でオンライン化のメリットなんてそんなあるんか?(´・ω・ `)しらんけど
コロナが呼ぶ「EdTech」再編 英ファンドがトライ買収:日本経済新聞https://t.co/IWZSoHTDOy
— 僻地課長 (@bubu0404) October 11, 2021
トライって私の学生の頃は、何もマニュアルも研修もなしに家庭教師バイト斡旋して中抜きするだけの会社だったけど、変わってないならこうなって当然な気もする。
あのハイジのCMのプロのマンツーマン指導とかなんなんやろとは気になってたが(単なる学生バイトでそんな体制一切なかった) https://t.co/gO8uDrC4Rl— ささぱんだやす (@sasapandayasu) October 11, 2021
20ウン年前、○○大学トライ(当時はこういう名前)に登録し家庭教師のバイトしてたことがあった。
とにかくマージンが高すぎて保護者側からも不評だったことを思い出す。
1000億という価値をつけるとは、こういった派遣ビジネスは儲かるんだな。https://t.co/kxmwrlK0Ei— 食福亭歯苑@次世代の歯科を模索中 (@shokufukutei_s) October 11, 2021
トライのバイトの時給、恐ろしく安いです。
教わる側の月謝がどれほどかは分かりませんがw— 佐野オヤジ (@sanocorp) October 11, 2021
いっぽうで、買収側のCVCキャピタル・パートナーズだが、これまで多くの日本企業への投資・買収を行っており、特に有名なのは経営危機に陥っていたファミリーレストラン「すかいらーく」への出資。その際には、経営再建の一環として徹底した不採算店の整理・転換が行われ、同社の代表的ブランドだったすかいらーくは、次々とガストへと転換されることに。その後、すかいらーくは米投資ファンドのベイン・キャピタルに売られ、その元で再上場を果たした。
また今年に入ってからは、2月に資生堂内のパーソナルケア事業を1,600億円で買収したと報じられ、さらに4月には、東芝の買収も報道された。ただ、そちらは当時の東芝のCEOが辞任するなどの混乱が生じたことなどから、CVC側から「検討を中断」という形で幕引きとなっている。
業界再編でトライにはまだ伸びしろがある?
そんな日本とも縁の深いCVCキャピタル・パートナーズが、少子化によって今後の展望は決して明るくないる教育業界の企業をどうして買収したのかというと、今後この業界で「業界再編」が大いに見込まれ、それに伴っての収益機会が十分にあると見込んだからのようだ。
これまでこの業界は、特に学習塾などはそうだが、地域に根差した中小規模の企業が多い状況だったが、やはり昨今の少子化によって経営が立ちゆかなくなるところも増えているようで、近年では倒産するところも出ているという。しかも、そこに昨今のコロナ禍によって、従来から課題とされてきたデジタル化がより急がれる事態となっているが、経営体力に乏しい中小規模の学習塾などにとっては、それも大きな壁となっているという。
それに対してトライグループは、以前からAIなどデジタル技術を活用した指導に力を入れているとあって、デジタル化に対応できず退場していく学習塾などに在籍していた生徒や講師などの受け皿になれる可能性が高い。さらに最近では少子化の反面で、各家庭が子ども一人当たりにかける教育資金は増えているといい、そういった面でも今後の成長がさらに期待できるというのだ。
ただ、そういった教育業界における大規模な再編が、外資に買われた企業が主役となって進んでいきそうな状況に対しては、「狙いが教育とは違うところにありそう」との見方もあがるなど、危惧する声も少なくなくはない。さらに、これが教育費の上昇に繋がればいわゆる教育格差、ひいては格差の固定化にも繋がるのではといった心配の声もあがる。
トライといえば、自分が大学生の頃、時給1000円という当時でも驚きの低賃金で家庭教師の募集をしていたイメージしかない。もともと塾じゃないから業界的にも異色の会社だし。
教育産業の合従連衡は珍しくないけど外資系は聞いたことがないし、狙いが教育とは違うところにありそうで引っ掛かる。 https://t.co/dvj1TqqRvC— 新野 元基 (@newfield114) October 11, 2021
「家庭教師のトライ」買収へ 英ファンド、1000億円で(共同通信) https://t.co/S6lwdESmcl ほうほう、これから家庭教師付けて勉強する学生とその保護者達は株主たる欧米外資のために教育費を”上納”して将来そのまま欧米のために見を捧げよとw 欧米を富裕にさせる為に日本の若者は学べってかww
— 山田英之@亜州九沖迷 (@ooe_san) October 12, 2021
民間のEdTechが進むのは結構なことだが、こと教育に関しては、公的なところこそが重要で、そうならないと格差が固定化してしまう。
コロナが呼ぶ「EdTech」再編 英ファンドがトライ買収:日本経済新聞 https://t.co/tLRi3QqKO4
— のとみい (@noto_mii) October 11, 2021
ファンドといえば、つい先日には日本国内で38軒の温泉旅館やリゾート施設を運営する「大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ」を、アメリカのファンド「ベインキャピタル」が中国企業に売却するとの報道もあったばかり。ネット上では、近年の海外ファンドによる日本企業の買収は、その先に中国という買い手が居ることを見越してのものだという見方も多い。
先進国のなかでも賃金は最低レベルに留められ、名だたる企業がどんどんと外資に安売りされていく最近の日本だが、今後は欧米や中国傘下の元で相変わらずの状況が続いていきそう……そんな嘆きの声も聞こえてくる状況だ。
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