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ガソリン価格はいつ下がる?供給不足が解消しない6つの要因、原油高騰はインフレに直結する=原彰宏

原因その2:北京冬季オリンピック・パラリンピック

世界的イベントなだけに、中国としても大気汚染を考えると、石炭火力に7割も依存している現状から世界へのアピールも含め、「脱石炭」にシフトするという行動はうなずけます。

そのために炭鉱稼働を止めていました。

しかし、いったん止めた炭鉱の再稼働は難しく、電力不足状態解消のための供給が迅速に行われないことが、今目の前に現れている「電力不足」につながっているという指摘もあります。

このリカバリーを石油や天然ガスに求めるという思惑も、原油需要が膨らむ要因として、強く懸念されています。

原因その3:大型ハリケーンの問題

8月に米国を襲った大型ハリケーンが、産油地帯であるメキシコ湾岸に大きな被害をもたらしました。

石油の生産量が2005年以降で最大の落ち込みとなり、米国のガソリン在庫が最低水準に近いところまで減少していることも、需給を乱す要因になると懸念されています。

原因その4:米シェールオイルの問題

いままでは、需給逼迫の際には、米シェールオイルの蛇口を開放、つまり生産を増やすことで需給調整を行ってきました。

バイデン政権誕生により、地球温暖化対策として採掘の環境規制が厳しくなったことに加え、コロナによる人手不足や物流の混乱もあり、シェールオイル供給そのものが安定しなくなりました。

原因その5:英国のパニック

ブレグジットにより、移民が来なくなったことで、今まで移民が担っていた仕事に大きな支障をきたすようになりました。

身近なものとしてスーパーで物を陳列する人がいなくなったということがありますが、トラック運転手が欧州大陸から来なくなったことで、不安になった消費者がパニック的にガソリンスタンドに殺到したというのです。

9月終わりから10月にかけてガソリンスタンドの多くでガソリンが売り切れ、社会問題化し、軍がガソリン輸送で動員されたほどだったとのことです。

原因その6:天候不順による再生可能エネルギー供給不安定化

再生可能エネルギーにシフトしているところに天候不順が、電力供給に不安が出て、スペインでは電気料金が3倍になったとのことです。

すべては供給不足、問題はどこにある?

これらの事情は、どう考えても需要サイドが拡大するとしか思えません。

「じゃあ供給サイドの蛇口を広げればいいじゃない」ということになるのですが、これがそうもいかないようなのです。

じゃあ供給サイドの問題とはなんなのでしょう。

需要の規模が掴めない、一気に原油の蛇口を緩めたら、今度は供給過剰になってしまわないかという恐れを供給側は感じているのでは?との指摘があります。

供給側とは、言わずもがな「OPECプラス(中東諸国とロシアなど)」のことです。

需要が増える見込みがありながら、供給側が動かないという構図は、どう考えても原油価格高騰を招くとしか思えないですよね。

Next: 脱炭素運動も原油高騰の要因に。ガソリン価格はいつ下がる?

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