米国は日本も守らない
アフガンの教訓は、日本の防衛体制についても考えさせるものでした。
米国はテロの温床としてのタリバン政権を倒し、親米政権を樹立させようとしました。20年、2兆ドルあまりを費やして、アフガン軍を訓練し、米国の兵器を提供しました。
それでも民主化は果たせないまま、あとはアフガン政権が自分で守れるだろうとして、米軍を引き揚げました。
日本に対しては共産主義勢力の防波堤として日本を位置づけ、日本に米兵を駐留させ、安全保障条約を締結しました。駐留費用は日本の「思いやり予算」で賄っています。
日本はいざというときには米国が守ってくれる、との期待から、米軍の引き揚げを阻止し、日本側から駐留継続を依頼しています。特に東シナ海での中国脅威に対しては、日米安保に強く依存する形になっています。
しかし、米国は中国と戦争する気はまったくありません。まして、中国が日本(尖閣諸島)に攻め込んだ場合、米国は自らの命を差し出してまで日本を守るつもりはありません。
米国としては、アフガンに示したのと同様に、「最新の武器を提供し、自衛隊の訓練にも協力した。あとは自分で守れ」となります。
日本を守ってくれるのは日本だけ
もっとも、米国が中国と対立している間は、日本の協力も必要なので、日本を簡単に見捨てることはないとみられます。
しかし、米中が何らかの形で和解し、対立構図が溶けたときに日本の立場がなくなります。日本は中国共産党からの防波堤の地位を失うためです。
その時に日本は中国、ロシアの脅威に対して、自ら防衛体制を構築しておく必要があります。
その際、安倍元総理周辺には、日本の核装備を考えて原発、核燃料サイクルを保持する考えがあるといいます。しかし、世界で唯一の核被爆国日本が、自ら核武装することは、国民感情を逆なでします。むしろ、武器の次元がさらに進み、サイバーや電磁波兵器の開発も進んでいます。
これらの使い方によっては、核を保有すること自体が自分の国を破壊するリスクを持つことになります。日本でも原発施設がテロに狙われる事態は想定した対応が必要です。
敵基地攻撃能力を持つことの是非が問われていますが、ミサイルなどで攻撃しなくても、サイバーや電磁波で敵国の核のスイッチや核を破壊することも可能になります。
日本が核廃絶の先頭に立って動くとすれば、こういう次元での武器を持つことで、核を持つこと自体が大きなリスクになることを世界に認識してもらうことも重要です。
宇宙戦争を企てる国もありますが、日本としても宇宙の衛星の位置づけ、配備も重要になります。
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