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岸田政権は“バラマキ”で足踏みしてる場合か?放置される外交・国防・脱炭素の基本政策=斎藤満

岸田政権誕生とともに衆議院選が始まり、政権の基本的政策がまったくわからないまま与党は大勝しました。このタイミングで今一度、基本に立ち戻り、岸田政権が目指すべき日本の課題を提示したいと思います。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2021年11月8日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

何を選べばいいのか困惑した総選挙

岸田政権が誕生して、何もしないうちに解散総選挙となり、与党は大勝しました。

政権選択といっても、何もせず、何をしたいのかもわからない政権の何を選べばよいのか、国民も悩まされました。

この間の空白時に、日本の立ち位置を考えざるを得ない多くの問題提起がありました。

新政権は経済戦略を練る前に、今一度、基本に立ち返って日本としての立ち位置を考えるときではないでしょうか。

国民を救済する機動力が必要

まず、国民目線に立ち返れば、沖縄で軽石が押し寄せ、漁もできず、船の往来もできない事態に対処しないのは致命的です。

選挙の最中であっても、緊急に支援する機動力が必要でした。地元が総動員で軽石の除去を行っていますが、国は予備費を使ってでも、早急に動く必要がありました。

海底火山の噴火という天変地異による災害を、一部の地元住民に押し付けてはいけません。

菅政権が倒れた要因の大きな部分は、コロナで苦しむ国民の命を守り、十分な支援をすることができなかったことがあります。

つまり、国民目線で、困った国民を救済する姿勢が不十分とみられて国民の支持を失いました。

後継総裁はその反省から、まずもって国民目線で機動的に動くリーダーシップが求められます。

アフガン敗戦の処理外交

外交でも姿勢を問われています。米国バイデン政権によるアフガン撤退が、敗戦処理を誤ったとして、米国内外から多くの批判を受けています。

20年で2兆ドル以上も費やし、多くの米国兵、地元住人の犠牲を出してもアフガンの民主化に失敗し、「帝国の敗戦」を印象付けましたが、その敗戦処理を間違えました。

米国民や米国のために働いてくれた協力者、支援者を残したまま、バイデン政権は米国兵を引き揚げてしまいました。同盟国の英、独などとしても、NATO軍の中核となる米国兵が引き揚げてしまえば、彼らも退去せざるを得なくなります。

その相談もなかったといいます。地元に残された米国への協力者は、タリバンから見れば「裏切者」で、その家族の命も脅かされます。

米国に協力した日本にとっても敗戦となり、その処理が必要でしたが、米国以上に悲惨な結果となりました。アフガンからの引き揚げが遅れたばかりか、現地の協力者を残したまま、「見殺し」状態となりました。

彼らを日本が受け入れるでもなく、命のビザも発給せず、日本に救済を求めても、日本政府は具体的な対応をとっていません。

これでは現地の人々の暮らしのために働き、命を落とした中村医師の努力が報われません。

Next: アフガンの教訓「米国は日本も守らない」

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