GDPは増えなかった「一億総活躍推進室」
「一億」の意味は“あらゆる人”、それは元気なお年寄り、退職してもなお働く意欲がある人、専業主婦などなど、とにかく今働いていない人たちを指すとしていました。
「一億総活躍」を安倍総理(当時)が唱えたときに、当メルマガでも、政策検証記事を書いています。
この「一億総活躍社会」を女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、障害や難病のある方も、誰もが活躍できる社会……と定義していました。そう言えば安倍総理(当時)は、しきりに「再チャレンジ社会」という表現を使っていましたね。
要は、日本人全員で働いて、日本のGDPを押し上げようというものでした。
人口減少の日本において、どうしても労働者の数を増やさないといけないということから出た政策で、そのためには女性にも高齢者にも、障害者の人にも働いてもらおうというのが、「一億総活躍」の意味なのですね。
もうひとつ、1億人全員で、社会保険料を支払って制度を支えようというものだと理解しています。年金保険料を支払う絶対数を増やそうという狙いもあったようですね。
2016年に「ニッポン一億総活躍プラン」を安倍総理(当時)が策定、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の推進や非正規雇用の待遇改善をうたったものでした。
「一億総活躍国民会議」なるものがありました。担当大臣・首相を含む閣僚13人と有識者15人から構成されたものでした。
果たして、1億人が社会に出ていって、その後、日本のGDPは押し上げることができたのでしょうか…。
「働き方改革実現推進室」 の成果はあったか?
一億総活躍プランの働き方改革を担当した分室「働き方改革実現推進室」も廃止されました。以下などを施策を行うとされていました。
<同一労働・同一賃金の実現>
非正規雇用の待遇改善を図るためにガイドラインの策定等を通じ、不合理な待遇差として是正すべきものを明示。また、その是正が円滑に行われるよう、労働関連法の一括改正。
<長時間労働の是正>
仕事と子育ての両立、いわば、女性のキャリア形成を阻む原因である長時間労働を是正するために、法規制の執行を強化するとともに、労働基準法については、36(サブロク)協定の在り方について再検討を開始。
<高齢者の就労促進>
65歳以降の継続雇用延長や65歳までの定年延長を行う企業等に対する支援等の実施。
2018年の「働き方改革法案」では、「高度プロフェッショナル制度」というのも話題になりましたね。「ご飯論法」でおなじみの法政大学の上西充子教授(労働問題)は「働く人を守る労働法の枠外での働き方を広げ、過労死ラインを越える長時間労働につながりかねない」と問題提議をしていました。