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バブル入社組に希望退職を迫るフジテレビ。前回リストラ時には「退職金1億円」報道もあり、就職難の他世代にくわえ同世代からも同情の声は皆無か

株式会社フジテレビジョンは25日に開催された取締役会において、「ネクストキャリア支援希望退職制度」による希望退職者募集の実施を決議したと発表した。

報道によると、対象となるのは勤続10年以上で満50歳以上の社員で、募集期間は来年1月5日から2月10日まで。募集に応じた場合、来年3月31日が退職日となるとのことで、通常の退職金にくわえて特別優遇加算金を支給するとともに、希望者には再就職支援を実施するという。

他の就職難世代から怨嗟を集めるバブル入社組

昨今は“45歳定年制”ではないが、早期退職という形で40代以上を対象とした退職勧奨が様々な企業で行われている状況。とはいえ、ひと昔ふた昔前までは就職人気企業のランキング上位の常連だったはずのフジテレビまでもが、ここに来てリストラ……ということで、ネット上にも大きな衝撃が走る格好となった。

2020年は新型コロナウイルスの流行による広告の減少で、業績を大幅に落とした在京の民放テレビ局。しかし、今年に入り出稿量も戻りつつあるといい、先日出そろった各社の2021年4~9月期の連結決算では、いずれも22年3月期の純利益予想を上方修正したと報じられるなど、想定以上の業績回復となっているようである。

ところが、そうはいっても若者層はネットばかりでテレビ離れの動きは顕著。さらに、比較的テレビに慣れ親しんで来た中高年世代の間でも、偏向報道やゴリ押しがあまりに過ぎると、テレビに対しての不信が広がっている状況で、長い目で見ればジリ貧であることは間違いのないところ。それゆえフジテレビとしても、体力的にまだ余裕のあるうちに、退職金の割り増しなどコストが嵩むリストラに手を付けたかったというのが、実情かもしれない。

花形業種のイメージがあるテレビ局ですら、リストラが行われるご時世……ということで、ネット上では身につまされるといった声が多くあがっているものと思いきや、その反応のほとんどは「やっとか」「逃げ切り失敗」といった揶揄するもの。

今回のリストラ対象となっている満50歳以上といえば、バブル景気の“超売り手市場”と呼ばれた最中に大量一括採用によって入社した面々がほとんど。それだけに、その後の就職氷河期世代やリーマンショック不況世代といった、就職自体が狭き門だった年代からすれば、まさに怨嗟の対象。さらに同世代から見ても、テレビ局職員といえばあり得ないほど高給取りだっただけに、同様に妬みを買いやすいとなれば、そのような反応になるのも無理のないところだろう。

4年前にも希望退職者を募っていたフジテレビ

今回衝撃をもって報じられているフジテレビにおけるリストラだが、一部の報道によると今回がはじめてではないとのこと。なんでも2017年に、同様の年代の社員を対象にして希望退職を募っていたという。

しかし、その際に退職に応じたのはわずか5人ほどで、50歳に近い年齢の社員は、1億円ほどの退職金で辞めたとのこと。その年代のテレビ局員の年収を考えれば、およそは数年分といったところの割り増しも含めた退職金だが、ほかの業種から考えれば相当な高額。今回のリストラでは、どれほどの割り増しが積まれ、実際どれだけの人数が辞めるのかのかは分からないが、これだけ貰えるなら贅沢さえしなければ十分逃げ切りは可能だろ……といった声も聞こえてきそうだ。

今回のフジテレビにおけるリストラのニュースは、同じくテレビメディアであるTBSも、いたってシンプルながらも取り上げているが、もちろん他のテレビ局の置かれている状況も、フジテレビとはそう変わるわけでもなく、当然他人事ではない話。それだけに、他の局にもやがてリストラの波が襲い掛かり、あれほどの栄華を誇ったテレビ業界もいよいよ終焉の時が……そんな悲観的な見方も出てきている状況だ。

ただ、これまでに蓄積された幅広い世代におけるテレビメディアへの不信にくわえ、さらに“リストラされる際も厚遇”というのが実情であれば、そのことに対しての同情論が湧くことは、まずありえなさそうである。

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