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神奈川県、自分でコロナ検査をする「自主療養」を開始も、検査キット不足で早々に頓挫の危機?大阪府「みなし陽性」も含め「“医療崩壊”の言い換え」との批判も

神奈川県が新型コロナへの感染に関して、医師の診断や確定検査を経ることなく、抗原検査キットなどを使って自ら判断し、そのまま療養する「自主療養」を始めると報じられたことが、神奈川県民のみならず広く国民の間に動揺が広がっている。

この自主療養の対象となるのは、6~49歳の基礎疾患がなく肥満や妊婦ではない軽症者。自主療養者に対して、県はLINEなどを通じて安否確認の連絡はするものの、重症化リスクの低い人にはパルスオキシメーターや食料の配布、看護師らによる健康観察の電話は取りやめるなど、支援を簡略化するという。

この「自主療養」は今月28日から始めるといい、神奈川県の黒岩祐治知事は「自主療養は強制ではない」としながらも、「病床が逼迫する前に対応を急いだ」と述べているという。

「“医療崩壊”の言い換え?」との声が多数

27日も都内の新規感染者数が過去最高を記録するなど、オミクロン株の急拡大が止まらない昨今。患者の急増によって医療機関の逼迫は危機的なまでの状況となっており、またすでに保健所に関してはパンクが発生しているとの声も多く聞こえてくる状況だ。

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そんななか後藤茂之厚生労働相は今月24日に、若年層で症状が軽く、重症化リスクが低い感染者に関しては、医療機関を受診しなくても自宅療養の開始を認める方針を発表

後藤厚労相は実際に運用するかどうかについて、あくまで自治体が判断するものと話すなど、要はその対応を各都道府県に“丸投げ”したわけだが、今回それに神奈川県がいち早く乗った格好に。また大阪府でも、吉村洋文知事が26日の記者会見で同様の仕組みである「みなし陽性」を導入する考えを表明しており、この流れは他の都道府県にも広がりそうである。

しかし、突如浮上した感もあるこれらのワード。神奈川県の「自主療養」は自らで検査を行うのに対し、大阪府の「みなし陽性」はもし家族にすでに陽性者がいれば検査も簡易化するケースもあり得るらしいなど、ほぼ同意語のようで微妙に定義は異なるのかよく分からないといったところだが、どちらにしても「“医療崩壊”を尤もらしく言い換えただけでは?」というのが、多くの人々の見方。

第二次世界大戦の折、国や軍部は戦線の後退を“転進”と、さらに部隊の全滅を“玉砕”と言い換えて報じていたが、それがまさか令和の世でも……と、呆れ交じりの声も多く聞かれる状況だ。

検査キット不足で「自主療養」は早々に頓挫の危機?

とはいえ、今回神奈川県が導入する「自主療養」、先述の通り“自ら検査”することが前提となっているようだが、現実のところそれも危ういのではという話も浮上している。というのも、ここに来て“検査キットが足りない”という事態に、もうすでに陥っているというのだ。

報道によると、名古屋にある小児科クリニックでは、抗原検査もPCR検査も今週中にキットが底をついてしまうという危機的な状況とのこと。このような状況を受けて、日本医師会の中川会長は「緊急増産を政府にお願いするとともに、まずは医療機関に優先的に供給してほしい」と述べたという。

この検査キッドの不足に関してだが、中川会長は「買い占めが発生している」ともコメントしていたが、そのいっぽうで症状が比較的軽い者、それどころか無症状の人間によって、自らの安心を得んがために無為に使われているのでは……といった見方も多い。

現に東京都の世田谷区では、抗原検査キットの区民などへの無料配布が行われていたようで、それを求めて多くの人々が殺到。整理券を受け取れなかった者が、区職員に怒りや不満の声をあげるシーンもあった模様だ。区による無軌道な検査キットの“バラマキ”政策の是非もさることながら、職員に食って掛かるほどの元気があるような人間に、貴重な検査キットを消費されてしまうという、まさに必要なところに必要なものが行き渡っていないという現状が浮き彫りになった格好である。

それにしても、もしもこのような検査キットの不足状態がこのまま続くようだと、神奈川県の「自主療養」ですらも、いきなり“絵に描いた餅”となる可能性も大。また「みなし陽性」にしても、最近では感染症の専門家が「今、風邪の症状がある人はコロナと思って結構」と、フジテレビ系「バイキングMORE」で発言するほどの状況だけに、そのノリで陽性の判定がなされていけば、とんでもない感染者の数になっていくことも考えられるなど、今後の混乱は不可避といった状況だ。

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