岸田首相が打ち出していた「新しい資本主義」の骨格が見えてきました。米国の株主至上主義を否定し、会社は公益のために奉仕すべきとする「公益資本主義」をもとにするものです。市場を敵視するこの政策には、日本市場が世界から取り残される危険があります。(『今市的視点 IMAICHI POV』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市的視点 IMAICHI POV』2022年2月12日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
新しい資本主義は「公益資本主義」
岸田首相が打ち出す「新しい資本主義」なるものの骨格がかなり見えてきました。
岸田首相が持ち出す分配政策は、アライアンス・フォーラム財団代表理事で元内閣府参与である原丈人氏が提唱する「公益資本主義」をほぼ丸のみする形になっていることは間違いないようです。
しかしながら、ここ数年で原氏が経済メディアに登場して語ってきた内容を追っていきますと、これは本当に海外投資家が納得するものなのか、非常に気になる状況です。
そうでなくても世界の金融市場の中でプレゼンスがガタ落ちの日本市場が、完全にローカルなものへと格下げされる結果になるのではないかと心配になってきます。
もう日本は、金融の世界を含めて独自のスキームを打ち出すことで、新自由主義とも国際金融社会とも決別し、独自に坂道を降りていくようです。
この政策について国民にも理解を求めたいといった凄まじい決断をされるのであれば、それはそれでひとつの判断ですから、総選挙で信を問うというのも大きなやり方といえるでしょう。
しかし、株式会社を適当に制限することで無理やりこの公益資本主義なるものをスタートさせて本当にうまく行くのかどうかには相当、首を傾げるものがあります。
投資家の支持率はわずか3%。まったく評価されていない岸田首相
2月8日、国内の金融クラスタでは大変な話題となる調査結果が発表されました。
それは日経CNBCが個人投資家を対象に調査した岸田政権に対する支持率で、支持すると答えたのはたった3%ぽっきり。95.7%が支持しないと明確に応えています。
昨年の政権発足から4か月ほどで、ほぼ100兆円の東証時価総額を吹っ飛ばした責任は、完全に岸田総理にあるという厳しい批判を浴びていることが、改めて明らかになってしまいました。
まあ、別に岸田政権の肩を持つ気はまったくありませんが、この相場の下落がすべて岸田首相のせいとは言えないのも事実。
とはいえ、この間、金融所得課税の強化と自社株買い制限という岸田首相の原丈人・公益資本主義論の一部を切り出した受け売り論が、圧倒的に嫌われる理由となったのは間違いないようです。
原氏が考える公益資本主義は、株式会社と証券関連での政策によくも悪くも特化しているのが特徴で、ここからさらにその理論が展開されることになれば、政権支持率はゼロになりかねない状況に陥っていることがよくわかります。