fbpx

投資家の支持率わずか3%、岸田政権が掲げる「公益資本主義」に海外勢も総スカン。日本株は世界の超ローカル市場に格下げへ=今市太郎

自社株買い「敵視」政策は市場で受け入れられるのか?

長年、日本が続けてきた新自由主義政策の結果、確かに非正規雇用の労働者ばかりが増えて、年収は過去30年間まったく伸びず、1億総貧困化が進んだことは間違いない状況です。

しかし原氏が言うように、国内の労働分配率を高めるために株主還元を制限し、従業員への還元、つまり給与を増やすというルール作りが本当に市場で承認を得られるものなのかという、大きな疑問がよぎるところでもあります。

例えば、岸田首相の「新しい資本主義」で真っ先に槍玉に挙げられているのが企業の自社株買いですが、米国ではたしかに年間90兆円にも及んでおり、ストップオプションで年収を得ているCEOが、自らの収入を増やすために、債券を発行してまで自社株買いに及んでいることは、社会主義化が進む米国民主党政権下でも大問題となっています。

ただ、主要な自社株買い企業はアップル、アルファベット、メタ、オラクル、マイクロソフトなどの超巨大企業で総額の半分を占めるに至っており、これこそが株価を上昇させる大きな原動力となっていることから、さすがのバイデン政権でも自社株買いに実施した総額に1%の課税をすることが検討されていますし、年間利益が10億ドルを超える企業に対して、最低15%の法人税の納税を義務付ける方針を打ち出しています。

当然、米国内でも自社株買いでCEOに多額のボーナスを支払うよりも社員により賃金で貢献すべきという議論が、議会で巻き起こっていますが、残念ながら今の金融システムでは、大手企業の自社株買いを完全に規制することはできないのが現状です。

本邦で言いますと、企業の自社株買いは年間7兆円程度で、もちろんこれが社員の報酬に振り向けられるのであれば有難いことではありますが、自社株買いの金額すら少ないからこそ、株価が上昇しないのでは?というまったく逆さまの批判も飛び出す始末です。

日本の家計の金融資産で日本株を買わせるのは机上の空論

原氏は自社株買いで日本株の株価が低迷するなら、2,000兆円弱あるとされる日本の家計の金融資産を利用して、日本株を買う流れを作ればいいと言い切っています。

しかし、リアルな国内金融市場では、まったく別の動きが示現しはじめています。

今年早々に、楽天証券の個人口座は700万件を超え、ミレニアル世代・Z世代に該当する若い世代は米国のロビンフッド同様に、ネットの証券口座を開設したのは喜ばしい限りです。

ところが、そのほとんどは日本株ではなく、1株から運用できる米国株にシフトしているという驚くべき事実が存在します。

本邦株が上がらないなら、日本の家計に買わせればいいというのは机上の空論としてはワークするかもしれませんが、足もとの状況はそんなものではありません。

国民はそこまで馬鹿ではないということは、よく考える必要がありそうです。

Next: 株式市場関連だけに施策が集中する「公益資本主義」の不思議

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー