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バイデンの外交下手が招いたウクライナ危機。“資源強者”中露に追い込まれているのは欧米側=角野實

ウクライナ情勢を日本のメディアで見て公正中立に判断すれば、「悪いのはロシア」ということになります。しかし、メディアの報道が中立であるとは限りません。「時間がかかっている」と言われているロシアの進軍は過去の戦争から平均的に見て遅くないですし、中国がロシア制裁に参加する理由もありません。なぜそのような報道になるのか、客観的事実を見ていきます。(『角野實のファンダメンタルズのススメ』)

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※本記事は有料メルマガ『角野實のファンダメンタルズのススメ』2022年3月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。

ロシアのウクライナ侵攻「時間がかかっている」の嘘

今回のロシアによるウクライナ侵攻、ロシア軍が首都キエフの制圧に時間がかかっている……という論調が多いのですが、果たしてそうでしょうか?

現代の戦争というのは、アメリカ・欧州・ロシアなどの大国vs小国の構図がほとんどになります。実際に20世紀の後半には、4つの大国と小国の戦争がありました。2つは中国とベトナムの中越戦争(1979, 1987)、残りは湾岸戦争(1991)とコソボ紛争(1999)です。

現代の戦争は大国が早期に侵攻を行い、早期に撤退する傾向があります。それによって小国は大きなダメージを受けるケースがほとんどです。

こういうイメージはみなさんの中にもあるはずで、今回のロシアによる侵攻は発生して3週間程度に現在はなります。では、上記の4つの戦争の侵攻から撤退までの平均の経過日数というのは何日だと思いますか?

答えは「97日」です。つまりロシアによる侵攻はまだ20-30日程度のことであり、これらの戦争と比較をすればわずかなものなのです。

こういうデータなどを見ていると「ロシアによる侵攻が予定よりも遅れている」と盛んに喧伝する輩がいますが、何を根拠に言っているのか、私にはさっぱり理解できません。

もちろん、戦争によって個々の事情が違いますし、ケースが4例しかないような状態でデータと呼べる代物ではありませんが、たった20-30日で終了するようなケースは今までほとんどない、ということなのです。

おそらく今回、アメリカの諜報機関はロシアの勢力を正確に把握をしているのだから、その分析も正しい……という思い込みによって、そのようなことを言っているだろう、と推測はできます。

しかし、彼らの言い分を本当に信用していいのか?と私は考えています。

長期化すると引くに引けなくなる

そのほかアメリカによるアフガニスタン攻略などは、長期間を要しているわけです。結局、バイデンの英断によって撤退を行ったわけですが、このようなケースでは先のソ連によるアフガニスタン侵攻でもおわかりのように、引くに引けないような状態になるわけです。

このような場合は、ゲーム理論による持久戦で、勝つと思われた大国のコストも膨大になりますので、ロシアもここまで侵攻を行うことはない、と思うのが合理的です。

また、さまざまな増派が行われているようですが、これは戦争によるコスト(戦死者など)を増大させます。ですので、このようなことは絶対に行うべきではありません。それなのに、民兵の派遣や武器の供与ほか、間抜けなことをやろうとする西側諸国が多いのにも呆れます。

そして平気のへの座で「平和だ」「反戦だ!」と言う。

どういう神経をしているのだろう…と思います。要するに、美辞麗句ばかり使っていると「まとも」な行動ができなくなるの典型例です。

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