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1ヶ月後に電気停止「エルピオでんき」撤退で大混乱。ウエスト電力ほか新電力が続々撤退…さらに新規申込停止の“撤退予備軍”も増加中

新電力のひとつである「エルピオでんき」が、今月25日にサービス停止を発表し、ユーザーの間で動揺の声があがっている。

親会社である株式会社エルピオによるリリースには、慢性的な天然ガス不足の影響やロシアのウクライナ侵攻によって天然ガス市場が大暴騰しているのにくわえ、先日の福島県沖地震の発生による電力卸売市場の高騰もサービス停止の原因としてあげられている。

同社による電力供給サービスは2022年4月30日に停止される予定で、利用者はこの日までに他社の電力プランへと移行する必要があるという。

ユーザーページにアクセスできないとの声も

株式会社エルピオは、千葉県内に本社を置くLPガスの会社で、電力自由化を機に北海道と沖縄を除く全国において「エルピオでんき」をスタート。

同社では、あえて大々的な宣伝広告を行わず無駄なコストをカットすることで、数ある新電力のなかでも最安値の水準まで電気代を抑えていたといい、ユーザーの間からは「電気代が安くなったことを本当に実感できる」などと、特にコストパフォーマンスの面で評価する声が多数あった。

しかし、先述の通り電力卸売市場の価格高騰などが理由で、このような格安な価格設定を維持していくことが困難となったようだ。

報道によると、電力会社の契約変更が必要な契約世帯は約14万件にのぼるなど、結構な規模で影響が出ることとなっている今回の件。ただ、SNS上にあがっている声によると、同社から利用者への報告はまだ徹底されていないようで、「ヤフーのニュースで知った」など、報道をネットニュースで初めて知ったという声も多数。

また、サービス停止を伝えるリリースが同社サイトに掲載されているようだが、28日の時点でサイト自体が今回の件を受けて接続が集中しているのか、各ページがサーバーエラーが続出する事態に。さらに利用者向けのマイページも見られないという報告も相次いでおり、ユーザーの間からは「新規の電気会社申し込み出来んやん」などといった声もあがっている。

新規申し込み停止の“撤退予備軍”も急増中

新電気を巡っては、今年2月末には岐阜県美濃市の企業が展開していた「みの市民エネルギー」が、小売電気事業の停止を発表。

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さらに今回の「エルピオでんき」とほぼ同じタイミングでは、太陽光発電所の開発を手がけることで知られるウエストHDも、電力小売事業の「ウエスト電力」からの撤退を発表したとの報道が。このように親会社の経営規模の大小にかかわらず、昨今の状況ではサービス停止に追い込まれる可能性があるというのだ。

実際「ハチドリ電力」「楽天でんき」「京葉ガスのでんき」などをはじめ、すべてのプランあるいは一部のプランにおいて新規の申し込み受付を一時停止しているという、いわば“撤退予備軍か?”とも見られかねない新電力もここにきて急増中。天然ガス市場の高騰、さらに電力卸売市場も高騰するといった今の状況がさらに続けば、他の新電力各社にもこの流れが波及しかねない状況である。

いっぽうで、今回の「エルピオでんき」の場合では、サービス停止のお知らせから約1か月で電力供給がストップするため、利用者はその期間内で他の電力会社へ切り替えなければならないという、なかなかタイトなスケジュールになっているようだ。

電力自由化以降、全販売電力量に占めるシェア自体は右肩上がりで伸び続けていた新電力。既存の電力会社よりもお得ということで、切り替えたという利用者の方も多いと思われるが、この期に及んでは不測の事態にはいつでも対応できるように備えておくのが賢明のようだ。

Next: 「契約者への配慮が皆無で、企業としての常識を疑う対応」

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