ビットコインを中心とした暗号通貨は明らかに上昇トレンドに入っている。このトレンドは、しばらく続くとする予測が多くなっている。なかには、この状況が続くと、年内に1,000万円の大台を突破するという楽観的な予測も見られるようになった。注目すべきは、ビットコインに関するGoogleの検索結果の件数と、実際のビットコインの相場が相関していることを示すニュースも出てきたことだ。(『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』高島康司)
※本記事は『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2022年3月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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明らかに上昇トレンドに入ったビットコイン
前回メルマガで紹介した動きから、これからビットコインの上昇が期待できると予想したが、今週の値動きを見ると、ビットコインを中心とした暗号通貨は明らかに上昇トレンドに入っている。
3月22日には490万円台で取引されていたビットコインは、いまは580万円台に急騰している(※編注:原稿執筆時点2022年3月29日)。このトレンドは、しばらく続くとする予測が多くなっている。なかには、この状況が続くと、年内に1,000万円の大台を突破するという楽観的な予測も見られるようになった。
この強い上昇トレンドの背景になったのは、ロシアのウクライナへの軍事侵攻に伴う状況の大きな変化である。このメルマガの過去の記事で何度も書いたが、ビットコインを中心とした暗号通貨は、ウクライナ支援のための寄付の方法として活用され、また厳しい経済制裁下にあるロシアの富裕層が資産移転の手段として使っている。
こうした状況から、いまビットコインを中心とした暗号通貨には新しい用途が見いだされ、需要が増大しているのだ。
このトレンドはこれからしばらく続きそうである。先週と今週の上昇トレンドをけん引しているのが、やはりロシアの動きである。
天然ガスの決済に暗号通貨を使う可能性
それは、厳しい経済歳制裁下にあるロシアが、暗号通貨を天然ガスの決済に使う可能性である。周知のようにいまロシアの主要銀行は、国際貿易の決済に使われるドルベースの送金システム、「SWIFT」から排除され、国際貿易からの排除が進んでいる。
「ガスプロム銀行」のような天然ガスの国際決済に使われる銀行は「SWIFT」からの排除を免れ、またロシアは日本と欧米をはじめ非友好国にはルーブルによる決済を要求している。この結果、ロシアからの天然ガスの全面的な輸出規制は実施されていない。
そのような状況で、3月24日、ロシアのエネルギー責任者であるパヴェル・ザヴァルニーロシア連邦議会エネルギー委員会委員長は、「友好的」な国々はエネルギー商品の支払いにビットコインを使用できる可能性があると述べた。これは、プーチン大統領が「非友好的」な国々にルーブルで支払うことを望むと発言したことに対応したものだ。委員長は次のように述べている。
「友好国としては、制裁に加担していない中国やトルコがある。中国には以前から、ルーブルや人民元での決済に切り替えるよう提案してきた。トルコの場合は、リラやルーブルになる。望まれれば、ビットコインでの取引にも対応するだろう」
これまで暗号通貨はビジネスの決済のほか、資産の移転手段、長期の投資対象として見られてきた。しかし、もしこの動きが本当に実現したとすると、国家の基幹産業のひとつであるエネルギーの決済に、暗号通貨が使われる最初のケースとなる。これが行われると、暗号通貨による国際貿易の決済は、他の産業分野に拡大する可能性は高くなるに違いない。