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日銀は岸田政権にケンカを売った?黒田総裁の「円安容認」は危険な賭け、円安を軟着陸させる手段は2つだけ=斎藤満

ドル円反落リスク(短期)

昨年までドル円は超安定推移を続け、年間変動幅が10円程度に収まることもしばしばでした。

2015年半ばに、オバマ政権(当時)から強すぎるドルは米国に負担と言われて以来、ドル円は125円から次第に低下を続け、緩やかな円高から横ばい圏にありました。

それが昨年秋以降、米国金利の先高観を受けて、また円安ドル高に向かい、今年の3月以降、日銀の緩和継続姿勢を確認して円安が加速しています。

ドル円の節目としては、オバマ大統領の指示、黒田総裁の円安終了示唆発言を呼んだ1ドル125円があります。日銀の指値オペで、ドル円は一気にこの水準に達しました。

さすがにドル円は当面のゴールに達したために、その後、反落しました。日銀の追加オペで金利が低下しても、為替は円高気味となっている分、日銀は救われました。

もっとも、日銀が改めて流動性を大量に供給しているので、投機筋がまた円を売りに出て125円を超えると、どこまで円安が進むかわからない反面、実勢を大きく超えた円安が進む分、その後の反落リスクも大きくなります。

125円を超えて円安が進めば、岸田政権から政治的に強い反発を招くと見られます。そして日本の物価高は、エネルギー以外にも拡大波及して選挙前の政府を苦境に陥れます。

ドル急落リスク

もうひとつ、米国側にもドル急落リスクがあります。

ドル基軸通貨のもと、米国は双子の赤字を拡大しつつ、ドルを世界にばらまいています。今は米国の高金利で資金をドルに吸引していますが、米国の高インフレ、実物経済と乖離した金融の肥大化による債権債務の膨張がいつドル爆弾を破裂させるかわからない不気味さを持っています。バイデン政権を支えるCFR(外交問題評議会)もこれを懸念しています。

FRBの高金利策と日欧の緩和維持の組み合わせでドルを支えていますが、世界の流動性がこれから細り、しかも金融制裁、SWIFTからの銀行排除などで、資金の流れが悪くなります。

中国、ロシアは苦し紛れのドル離れを進めています。日欧がインフレで緩和を維持できなくなれば、ドルの支えを失うリスクが浮上します。

最近ではECBの年内利上げが見込まれるようになり、ユーロが反発しています。

Next: どう円安をソフトランディングさせる?日銀に残された手段は2つ

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