来たる花~今週(5/9~5/13)の世界経済・市場の動きについて
日本の決算発表以外は材料が少ない週、世界的なリスク回避的な兆しが気にかかる
【まとめ】
今週は、日本国内では、企業の決算発表が続きます。ただ、それ以外には、世界的に大きな材料が乏しいです。
米雇用統計を乗り越え、心配された円高の動きも限定的に終わったため、世界的に市場は落ち着いて推移すると期待できる一方で、先週主要な新興諸国通貨などがさえなかった動きが持続するかどうかが、気にかかるところです。
【詳細】
今週は日本では、3月決算期企業の決算発表が、多く行なわれます。決算発表が国内株価に与える影響については、これまで当メールマガジンで何回か述べてきました。すなわち、企業は慎重な2016年度の収益見通しを発表する(おそらく、企業側の収益見通しを集計すると、前年度比で減益になる可能性が高い)ため、決算発表自体は日本株の押し上げ材料にならないと懸念されます。
しかし、そうした企業側の見通しに「敬意を表して」、各社のアナリストが収益予想を下方修正するところが、下方修正の「山」(「谷」かもしれませんが)になり、その後は悪材料が峠を越す展開がありうると考えます。
また、収益に対する警戒感は、かなり市場に織り込まれているとも推察されます。
したがって、今週の企業決算発表の内容が悪く、株価が下押ししたとしても、下押し幅は限定的で、来週以降株価が上値をうかがってくる展開が期待できるでしょう。
日本以外の国については、大きく市場を動かしそうな材料が乏しいです。先週の市場においては、懸念されたような大幅な円高は起こらず、米雇用統計に対しても諸市場が落ち着いて消化したため、その地合いを受けて、今週は世界市場が堅調に推移する可能性があります。
一方で、「過ぎし花」の株価・通貨のランキングで述べたように、政局不安が嫌気されたトルコを別にしても、ロシア、ブラジルなど、主要な新興国の株価や通貨が不振だった点からは、またリスク回避的な動きが広がる兆しとも感じられます。
特にエマージング市場が売り込まれるような具体的な材料はありませんが、投資家の心理が不安定化しないかどうか、注視したいところです。