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国内決算ウィークは「下方修正の山」から悪材料一巡の展開も/新興諸国通貨に留意=馬渕治好

盛りの花~世界経済・市場の注目点

日仏あるいは日独首脳会談をどうみるか

先週は安倍首相が欧州主要国を歴訪し、5/2(月)はオランド仏首相と、5/4(水)はメルケル独首相と、会談しました。

この欧州歴訪は、5/26(木)~5/27(金)の伊勢志摩サミットで、日本が自国の経済対策を打ち上げ、他国にも財政出動などを働きかける形で、日本が世界経済のためにリーダーシップをとっている、という姿勢を示すために、その前段階として行なわれた、と解釈できます。

そうした観点から、たとえばメルケル首相がドイツの財政出動に後ろ向きだった、などの点が報道では前面に出ています。

しかし、最近の円高についても、独仏の首脳と意見交換が行なわれています。オランド首相は「為替相場の急激な変動は望ましくない」との見方で安倍首相と合意したと報じられており、メルケル首相とも、為替相場の安定を求める考えを示したとのことです。

安倍首相が日本からわざわざ来たので、独仏ともリップサービスした、という点は割り引くべきでしょうが、5/6(金)にIMF(国際通貨基金)のギマラエス氏(アジア局副局長)は、足元の急激な円高進行について「日銀からさらなるガイダンスが歓迎されるべき状況」にあり、為替市場の動向を「注視している」と述べています(先月のラガルドIMF専務理事の発言では、円高について「日本の市場を注視している」「(急激な為替変動があった場合には)為替介入は正当化される」とされています)。

米国が日本の介入をけん制していると解釈されている中、欧州主要国やIMFが日本の立場に理解を示している、という形になれば、「日本は介入の手を全く縛られており、円高で袋叩きになっても何もできない」という説が薄らぐものと見込まれます。

理解の種~世界経済・市場の用語などの解説

基調インフレ率、再び

豪州の物価統計における「基調インフレ率」については、当メールマガジンの第201号(2015年3月3日付)で解説しましたが、再度述べます。

豪州では、四半期ごとに公表される消費者物価指数について、様々な数値が計算されています。通常の消費者物価上昇率は、他の諸国と同様に計算されています。すなわち、消費量などに応じて各項目にウエイト付けをして、個々の物価の動きを加重平均し、その前年比を求めます。

しかし、そうした方法では、何かある物品あるいはサービスの価格が、極端に上振れあるいは下振れした場合、その項目に、全体の平均値がひきずられる恐れがあります。そこで豪州では、1)トリムされた平均値(trimmed mean)と、2)重みづけ中央値(weighted median)という指標も計算しています。

トリムされた平均値は、極端に価格が上昇した項目と下落した項目を外し、残った項目だけで同様に消費者物価を計算します。重みづけ中央値は、全項目を上昇率の順番に並べ、上と下から数えていって、ちょうど中間にある項目が示す上昇率を取ります。

ただし、そうしたやり方は中央値と呼ばれるものですが、消費者物価指数を計算するのと同じウエイトを各項目につけます。上と下から中央に向かう際に、ウエイトが高い項目を通過するのに、その分だけ時間がかかるようにします。

そうすると、たとえば、2%上昇したある項目の、上と下に位置する項目の数が同じ(この場合、単なる中央値は2%ちょうどになります)でも、2%より上昇した項目のウエイトが高く、2%より上昇率が低かった項目のウエイトが低ければ、重みづけ中央値は2%より上にずれます。

最後に、「過ぎし花」で述べた、豪州準備銀行が重視している基調インフレ率とは、トリムされた平均値の上昇率と、重みづけ中央値の上昇率の、平均をとったものです。

脇道の花~道草の話題

中国からの観光客減?

先日、自主開催セミナーのため、札幌に出張しました。セミナー前に、書店の営業回りや食事などで、市内の中心部を動き回ったのですが、前回より、中国からの観光客が減ったように感じました。

もちろん、たとえば泊まったホテルでは、それなりの数、中国人らしい人たちを見ましたが、前回は市内のどこに行っても海外からの観光客らしい人たちであふれかえっており、駅前のビックカメラでは日本人がほとんどいないと感じるほど他国の方たちばかりだったので、海外からの観光客の人数は確実に減っていたと思います。減ったとしても、季節要因とか日程によるのかもしれませんが。


本記事は『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2016年5月8日号)を抜粋・再構成したものです。ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。月初は特にお得です!

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馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2016年5月8日号)より
※記事タイトル、本文見出し、太字はMONEY VOICE編集部による

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