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国内決算ウィークは「下方修正の山」から悪材料一巡の展開も/新興諸国通貨に留意=馬渕治好

過ぎし花~先週(5/2~5/6)の世界経済・市場を振り返って(2)

ここで先週の、世界の主要な株価指数の騰落率ランキング(現地通貨ベース)をみてみましょう。

前述したように、先週の世界市場の波乱は限定的ではありましたが、波乱はあることはあったので、世界的には株価は総じて軟調に推移し、先週株価が上がった国は9つしかありませんでした。それは上昇率の高い順に、ルクセンブルグ、ギリシャ、パキスタン、モロッコ、スリランカ、ニュージーランド、豪州、ポルトガル、チリでした。

なお、米国の株価は週を通じて下落はしましたが、ダウ平均が騰落率ベスト11位、ナスダックが13位と、相対的に堅調でした。

株価下落率が高かった国ワースト10は、順にトルコ、チェコ、香港、ロシア、イタリア、ブラジル、オーストリア、シンガポール、スウェーデン、コロンビアでした。トルコは、ダウトオール首相が更迭されるといった、政治面の不安定化が嫌気されたものと考えられます。

なお、日経平均株価が下落率12位、TOPIXが13位と、円高による日本株の軟調さが目立ちました。

主要な外貨相場(対円)の先週の騰落率をみると、対円で上昇した(円安になった)通貨は、ミャンマーチャット1つしかありませんでした。また、述べたように対米ドルは、事前の懸念に比べて堅調に推移したため、対円で下落はしたものの、上昇率ランキングで3位でした。

対円で下落率が高かった通貨は、下落率の順に、南アランド、メキシコペソ、トルコリラ、コロンビアペソ、豪ドル、カナダドル、ブラジルレアル、マレーシアリンギット、ニュージーランドドル、ロシアルーブルで、日本の投資家にとってもなじみのある通貨が多く含まれています。

なお、豪ドルが騰落率ワースト10に入っていますが、これの豪ドル安の背景としてはまず、RBAが5/3(火)に開かれた理事会で、予想外の利下げ(政策金利を2.0%→1.75%)を行なったことが挙げられます。これで豪ドルは、81.50円前後から79.50円手前まで下落しましたが、それでも時折80円台を回復する動きをみせ、それなりに底固かったとも言えます。

この底固さの要因としては、たとえば5/5(木)に発表された3月の小売売上高が、前月比で0.4%増加し、2月の0.1%増(0.0%増から上方修正)より伸びを高めたなど、豪州の経済指標に堅調なものが目立つことが指摘できます。つまり、RBAは「念のため」利下げを行なったとも解釈できます。

ところがRBAの利下げ以上に予想外だったのは、5/6(金)に豪ドルが突然急落し、一時は78.50円をも割り込んだことでした。この豪ドル安の理由は、同日発表されたRBAの四半期金融政策報告で、今年の基調インフレ率(「基調インフレ率」については、この後の「理解の種」をご覧ください)見通しが、前年比2~3%から1~2%に引き下げられたためとされています。

この市場の動きを「予想外だった」と述べたのは、確かにRBAは物価見通しを下方修正しましたが、「GDP成長率と雇用見通しは2月の見通し(前回の見通し)と比べあまり変化はない」としているためです。この点で、市場の豪ドル安の反応は、行き過ぎの面があると考えています。

Next: 来たる花~今週(5/9~5/13)の世界経済・市場の動きについて

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