4-6月の米国GDP速報値は2四半期連続のマイナスとなり、リッセション入りの可能性が高まった。しかし、マーケットはこの結果を歓迎し、米国株が連騰している。この不可思議な理由について解説する。(『新天地の株式投資日記』)
※本記事は有料メルマガ『新天地の株式投資日記』2022年7月29日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。実際に配信されたサンプル号もお読みいただけます。
プロフィール:新天地
祖父の影響で子どもの頃から株の売買を行う。証券会社で自己売買業務を経験後に退社、現在はデイトレーダー。メルマガでは主に脱初級・中級者向けに、東証・NYの市況(市場雑感)、相場の考え方、取引手法などを解説。一般に書かれることが少ない空売り戦略や取引アルゴリズムに関してもプレーヤーの立場から丁寧にフォローする。
2四半期連続のマイナスのGDPにも楽観的な米国市場
28日のアメリカ株は連騰になった。
前日引け後決算を発表したメタが期待を下回る収益を発表。さらに注目のGDPは4-6月の速報値で年率換算0.9%の「マイナス」。これで2四半期連続のマイナスになり一般的には「テクニカルリセンション・景気後退」とされる条件を満たしたことになる。
実際、1949年以降アメリカでは2四半期連続のマイナス成長が10回あり、のちにいずれも景気後退局面だったと認定されている。
ただ、数字上は2四半期連続マイナスとなったもののパウエル議長は水曜日のFOMC報告で「リセッションとは思っていない」かつ「景気動向などをみて利上げ幅(金融政策)を決める」とも発言していた。実際に失業率は歴史的低水準で雇用は安定している。
そこでマーケットは「バッドニュース イズ グッドニュース」というふうにかなり楽観的に解釈。景気減速で長期金利が低下するとともに、金利上昇に弱いとされる銘柄などを中心に株買いに動いて指数はプラスで引ける皮肉な結果になった。
なおAmazonの注目の決算は「本業は絶好調」。先週までインフレ懸念で売られてきた(今年は27%下落していた)反動もあって時間外で12%ほど上昇する結果になっている。
さらにアップルは830億ドルという「結構驚きの」収益を報告。時間外で4%を超える上昇となっている。
円高に反転したワケ
なお。昨日も書いたけどアメリカの景気悪化と金利低下を受けてドル円がさらに円高に触れたことには留意したい
アメリカ国債10年利回り日足
ドル/円週足
134円台は1ヶ月ぶりの高値になる。
3月にCPI発表以降アメリカの金利が上昇する中でほぼ日米金利差に連動して円安が進行してきたが、6月14日以降は金利下落にもかかわらず「日本売り」の円安が続いていた。
しかしここにきてアメリカの「金融政策が転換」(景気悪化を睨んで0.75%以上のペースで利上げするのが難しくなる)を読み込む形で、円高ドル安方向に反転しているのがよくわかる。このためアメリカ株高にもかかわらず225先物の上昇幅は限られた。
Next: 景気悪化で広告に打撃、メタ株が大きく下げる