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岸田首相、原発「新増設」方針に批判続出も「再稼働」に関しては容認派が上回る調査結果。電力不足という現実を前にあっさり覆った「脱原発」世論

岸田文雄首相が原子力発電の本格活用に向け、原子炉の新増設や建て替えを進める姿勢を鮮明にしたことが、各所で大きな反響を呼んでいる。

報道によると岸田首相は、24日に出席したGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議において、「再生可能エネルギーと原子力はGXを進める上で不可欠だ」と発言し、次世代原発の開発・建設を検討するように指示したとのこと。

岸田首相は、先の通常国会で原発に関して「再稼働はしっかり進める」としつつ、新増設や建て替えは「現時点で想定していない」と明言していた。

国葬&旧統一教会問題の目くらましを疑う声も

2011年の原発事故以降、世論の原発への強烈なアレルギーもあり、おおむね脱原発の流れで来ていた日本のエネルギー政策。長らくタブー扱いされていた原発の「新増設」「建て替え」という一線だが、ここに来ていよいよそれを超える事態となったようだ。

SNS上からはそんな突然の「原発回帰」の方針に、様々な意見が噴出している状況だが、なかでも多いのが、先の参院選で今回の件を争点にしなかった与党・自民党の姿勢を責める声。

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また、このところ大いに取沙汰されている旧統一教会の問題、さらに安倍元首相の国葬問題から、国民の関心を逸れさせるための目くらましではないか、といった邪推も一部からは浮上しているようだ。

いっぽうで今回の件に対しての各マスコミの反応だが、朝日新聞は「福島事故の教訓どこへ」といった記事を、さらに毎日新聞も「世論の反発必至」との記事を出すなど、原発への回帰に否定的な立場を鮮明にしている。

ただ、そのいっぽうで読売新聞は、全国の有権者3000人を対象に世論調査の結果として、規制基準を満たした原発の再稼働の是非を問う質問で、「賛成」が58%に対して「反対」は39%と、初めて賛否が逆転したと報道。原発の新増設・建て替えの是非となれば、反対意見がこれより増えるのは確実だと思われるが、いっぽうで再稼働に関しては、世論が容認へと徐々に向いている状況を伝えている。

米国では電気代高騰で滞納する世帯が続出

「再稼働やむなし」と世論が傾きつつある状況には、昨今の電力不足の問題が背景にあることは間違いないところ。

この夏はどうやら、今年3月にあったような「電力需給ひっ迫警報」などが出ることなく乗り切ることができそうな情勢だが、電力不足の本番は今夏よりも今冬だとは、かねてから指摘されている通り。またそんな電力不足と並行して、電気料金の値上がりも相次いでおり、家計を直撃しているといった状況だ。

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日本と同様に、天然ガス価格の上昇に伴う電気料金の高騰が著しいというアメリカでは、高すぎる電気料金が払えないという家庭が続出しているようで、全世帯の6分の1が公共料金を滞納しているという、驚きの状況に陥っているとのこと。そのような事態がいずれ日本にも…といった恐怖も、「再稼働やむなし」の世論を後押ししているとも言えそうだ。

とはいえ、甚大な被害が出た2011年の原発事故以降、日本国内で醸成されてきたはずの原発の存在自体を嫌悪するような世論も、電力不足や電気料金高騰といった現実的な状況を前に、こうもあっさりと逆転してしまうものなのかと、ある種のあっけなさを感じるといった声も。脱原発派もそうではない向きにとっても、岸田首相によるいきなりの原発「新増設」「建て替え」宣言に、今のところは戸惑いが半ばといった心境のようだ。

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