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泉佐野市、中学3年生“限定”の10万円給付に賛否両論。アマギフ祭りでふるさと納税“荒稼ぎ”なだけに「もっとイケるだろ」との声も

大阪・泉佐野市が「中学3年生がいる家庭」のみを対象に、生徒1人当たり10万円を支給する支援策を発表したことが大きな波紋を呼んでいる。

報道によると、この支援策は泉佐野市の単独事業だといい、市職員は昨今の物価高騰が大きな理由だと説明しているとのこと。9月に開かれる市議会で、関連する補正予算案を提出し、そのまま可決されれば、来年2月をめどに現金10万円が給付されるという。

給付にかかる費用は約9,100万円ということだが、その予算はふるさと納税などの積立金から捻出するようだ。

なぜ中3限定…市側の説明は?

昨今の異常な物価高騰を鑑み、子育て世代などを対象に給付金を出すという施策は、ここに来て各自治体で広がっている状況。

例えば長野市では、18歳以下の子どもがいる全世帯に子ども1人当たり1万円を給付すると、先月下旬に発表したばかり。また鹿児島市でも同様に、18歳以下の子ども1人につき1万円給付する方針だと報じられている。

今回取沙汰されている泉佐野市の件も、物価高騰で苦しむ子育て世帯への給付という点ではそう珍しくない動きなのだが、1人10万円という大盤振る舞いもさることながら、なんといっても「中学3年生がいる家庭」限定というところが、大いに目を引くところ。

なぜ泉佐野市はこのような縛りを設けたのかが大いに気になるところだが、報道された市長のコメントによれば、今から約2年半前の入学直前に緊急事態宣言が出されて出鼻を挫かれたうえに、その後も窮屈な学生生活を強いられたのが、今の中学3年生だから……というのが大きな理由だということだ。

いっぽうで、その財源はふるさと納税などの積立金から捻出するということだが、泉佐野市といえばそんなふるさと納税において、高額な返礼品だけでなくアマゾンギフト券までも返礼品として扱ったことで、寄付先として大人気となり、2018年度には全国の寄付金総額の10%近い497億円を集めたことも。

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2008年には、財政難によって財政健全化団体となっていた泉佐野市だが、このふるさと納税関連の施策などにより、早々に市財政の立て直しを達成したのが、2011年に初当選して以来、長年市長を務めている千代松大耕氏。地元では「改革派市長」として、高い人気を誇っているようである。

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昨年度のふるさと納税の受け入れ額は全国5位

今回の泉佐野市による10万円給付だが、考えてもみれば先述の長野市や鹿児島市のように、18歳以下の子ども1人につき1万円を給付するのと比べ、中学3年生限定で1人10万円給付するほうが、トータルの費用は明らかに少なく済みそう。

にもかかわらず、泉佐野市だけがなんだか大盤振る舞いな印象で、あまつさえ子育て支援が手厚いとのイメージも付き、おまけにニュースでも大きく取り上げてもらえたということで、市のPRといった意味合いではなかなか上手い作戦のような気もしないでもない。

ただ、給付対象を中学3年生だけに絞り込んだことに関して、SNS上では当然のように「なんで?」の声が続出する事態に。確かにコロナ禍で割を食った生徒や学生は、今の中学3年生だけではないのは当然なわけで、上記のように中学3年生だけがつらい目をしてきたといったような市側の説明は、少々苦しいといった印象も。さらには、ふるさと納税で相当稼いだんだから、対象をより広くすればいいのに……といった声も一部からはあがっているところだ。

一時は総務省と揉めに揉めて、1年余りふるさと納税の制度から除外されるという憂き目にも遭った泉佐野市。しかし、復帰から2年経った昨年度の寄付受け入れ額は約113億4700万円で、全国の自治体のなかでも5番目の多さだったと、つい先日報じられたばかりだけに、もっとイケるのでは……との声もが出るのも自然の流れだろう。

今回の件は、完全なる泉佐野市の単独事業として実施されることから、市民以外が口を挟むのはお門違いなのかもしれないが、とはいえ全国から集まったふるさと納税を原資に行われるというだけに、その成り行きを気にしている向きは結構多いようである。

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