自分の仕事をどう捉えるか
金田:要は、自分の仕事をどう捉えるかです。
たとえば、ここに2人のレンガ職人がいたとします。1人は、自分のことを「ただのレンガ職人」と考えて毎日、レンガをつくっていた。
ところが、もう1人は「私のつくったレンガで、多くの人が家を建て、建物をつくるための資材として使っている。1個たりともおろそかにはできない」と考えてレンガをつくっていた。
「あなただったら、どちらのレンガ職人からレンガを買いたいですか?」という話です。
俣野:想いが行動の差となって表れるということですね。
金田:はい。社員、アルバイト、管理職、社長…どのような形態で働いていようとも、基本は同じだと思います。
本業だろうと、副業だろうと、それは変わりません。
「生活費が足りない」「だから副業」では消耗する
俣野:世間で副業が注目されるようになってきた背景として、「サラリーマンだけでは生活が苦しくなってきている」という現実があるのだと思います。
日本ではこの30年間、給料がほぼ横ばいに推移している一方、税金や社会保障費などは、じわじわと上昇を続けています。特に最近は原料高騰や円安などの影響により、生活コストが跳ね上がっています。
生活費が足りない人たちにとっては、「『どうしたら周りの人の役に立てるか?』などと悠長なことは言っていられない」のが本心ではないでしょうか。
金田:確かにその通りだと思います。とはいえ、ものごとは長期的な目線から検討する必要があると考えます。
単に「お金が足りないから副業で補填する」だけでは、いずれ消耗してしまうような気がしてなりません。
俣野:何個もアルバイトを掛け持ちしたり、休みの日に個人宅配の配達員をしたりしていれば、疲労が蓄積されていきますからね。
金田:本来、副業はしないに越したことはないですから、それを考えるのには理由があるのだと思います。
ただ、突っ走る前に「そもそも、なぜ自分はお金儲けをしたいのか?」という本質に目を向けていただきたいのです。
今、サラリーマンをやっているだけでも大変なのに、さらに副業をしようとしている理由は何なのか?と自問してみてください。「生活費が足りない」という理由の、さらにその先です。
おそらく自分にとって大事なものを守りたいからなのではないでしょうか。だとしたら、自分が消耗してしまったら、それができなくなるとは思いませんか。