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激増する「SNS美人局」出会いのカジュアル化で犯人の低年齢化が顕著に。話題の個人間送金の普及も被害増大に拍車をかけるとの見方も

熊本市内で男子高校生が“SNS美人局”に遭い、現金約12万円を奪われたという事件が報じられ、大きな反響を呼んでいるようだ。

地元紙の報道によると、男子生徒は昨年11月にインスタグラム上で知り合った相手とやりとりを始め、互いに顔写真を送り合った後に、実際に会って遊ぶことに。ところが、当日その相手と待ち合わせした男子高校生のもとに、男2人が現れ「俺の女だけんね」と恐喝。手持ちの現金約12万円を奪われたという。

恐喝で逮捕されたのは、県内在住の土木作業員の男(18)とその幼なじみの高校生の男(18)で、実は男子高校生がインスタでやり取りしていたのは土木作業員の男だったとのこと。さらに、犯行当日に男子高校生と実際に会った女性は、犯人らが当日たまたま出会った少女とのことで、“彼女”のふりをして生徒と会うよう協力を依頼していたのだという。

10代が手を染め10代が騙されるSNS美人局

タイトルにも“SNS美人局”という、いかにも今ドキといったワードが躍るこの報道だが、実際に記事を読むと、手口そのものはいたってオーソドックスかつ古典的なもので、わざわざ“SNS美人局”なんて造語しなくても……といった声も一部からあがっているこの一件。

SNS上では、犯行の内容そのもの以上に、男子高校生が12万円という大金を持っていたことに、多くの驚きの声があがっているようで、なかには「給料日前のワシより金持ってる」という大人からの悲しいコメントも。

騙された男子高校生は、12万円もの大金を手に一体何をする気だったのか。もしかすると単なる女性への見栄で、ありったけの金を持って行ったのかもしれないが、そのことが結果的に大きな被害に繋がる格好となったようだ。

いっぽうで、犯人2人組が当日出会った無関係な少女に“彼女”のふりを依頼し、それに対して少女が応じたという経緯、さらには男子高校生側も、そんな“偽りの彼女”に違和感を抱きながらも、結局は騙されてしまったという、双方の杜撰さや迂闊ぶりもSNS上では大いに取沙汰されているところ。

確かに今回騙された男子高校生はもちろんのこと、犯人の2人組や当日彼女のふりをした少女にしても、関わっている人物がすべてが10代なわけで、何もかもが稚拙に見えるのは当然のこと。とはいえ10代が美人局による恐喝に手を染め、それに同じく10代が騙されるという構図に、まさに世も末といった気分にさせられたといった向きも多いようだ

出会いと送金のカジュアル化がさらなる被害を生む?

今回の事件に限らず、このところは犯人の“低年齢化”が顕著となっているという美人局。

今年8月に報じられた島根県松江市で起きた案件でも、逮捕されたのは10代の少年少女3人。さらにその翌月に報じられた、パパ活に勤しんでた30代会社員を脅して、車1台などを奪ったりディスカウントストアで計12万円分7,000円分の買い物をさせたという事件でも、捕まったのは16~19歳の男女6人だった。

大昔だと見知らぬ男女の出会いのきっかけといえばバーのカウンター、あるいはテレクラなど、子どもにはなかなか手が出せないような手段が多かったものの、近年ではスマホ1台あれば、SNSなどを通じて出会いが気軽に実現できるように。そのことから、出会いを逆手に取った美人局も気軽に実践できるようになり、ゆえに年端もいなぬ未成年も手を染めるようになった……そんな背景も、ネット上では大いに指摘されるところ。

そのうえネットの見ず知らずの人との出会いに関しても、最近ではマッチングアプリの隆盛などもあって、その意識的なハードルが以前より格段に下がっており、そのことも未成年による美人局犯罪の激増に繋がっているようだ。

実際、警察庁が公表した出会い系サイトで交際を持ちかける「禁止誘引」の検挙数は、2021年が60件と前年比で9件増。そのうち、児童が書き込んだ誘引は37件(前年比19件増)と6割を占めているとのこと。美人局は騙された側も、状況的に警察などに被害を訴えにくいことから、この検挙数はいわば氷山の一角といったところだろう。

このような状況となれば近い将来、美人局のような色仕掛けの脅迫も、すべてネット完結で金までむしり取るといった手口も出てくるのでは……と思うところだが、最近では「あなたのPCをハッキングして、アダルトサイトを閲覧している卑猥なシーンをカメラで録画した」と脅し、ビットコインを要求するという「偽セクストーションメール」なる手口が流行しており、注意喚起の声が広がっているとのこと。

口座振り込みではなくビットコインを要求するというのが何とも今ドキな感じではあるが、いっぽうで送金方法ということでいえば、スマホ内の対応アプリに相手の携帯番号を入力するだけで、指定金額を相手の口座に入金できる「ことら送金」がつい先日話題となるなど、近年は手軽な送金手段が増えている状況。これらに関しては、早晩詐欺に利用されるのでは……といった危惧が、SNS上で早くも広がっているところである。

男女の出会いも金銭のやり取りも、昔と比べると相当にカジュアルなものとなった今の世の中だが、それを利用した悪事にカジュアルに手を染める者も増え、その魔の手が我々の身近にも忍び寄っていることは、よくよく警戒しておいたほうが良さそうだ。

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