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修学旅行生の地域クーポン3000円分“カステラに強制交換”の是非を巡り賛否両論。背景には「地域クーポンは使い道に困る」問題が?

政府による観光需要喚起策「全国旅行支援」。修学旅行でもこの制度を利用する学校は多いようだが、その際に一人ずつに貰えるはずの地域クーポンにまつわるとあるツイートが、大きな議論を呼んでいるようだ。

修学旅行に行くという子どもから、3,000円分の地域クーポンが貰えると話を聞いていたツイート主。ところが、実際には生徒に地域クーポンは配られなかったようで、その代わりとしてカステラ3本を手渡されて戻ってきたとのこと。「クーポン自由に使えるんじゃないんかい」と思わずボヤいたツイート主だったのだが、そのツイートは程なく大きな反響を呼ぶことに。

その“反響”の内容としては、クーポンの使い道をその権利者である生徒の自由にさせなかった学校側に対して「越権行為」「権利侵害」だとする意見、さらに甘いものが苦手な人や鶏卵・小麦アレルギーの生徒も存在する可能性があるにもかかわらず、強制的に土産をカステラにさせられたことへの憤りの声。

また、なかには学校と旅行代理店および土産業者も含めて、何らかの利権の構図があるのではないか……といった憶測も飛び交うなど、様々な方向性で話が盛り上がる事態となっているようだ。

地域クーポンに対し「使い道に困る」との声が多数

3回以上のワクチン接種の証明と本人確認書類があれば、1人1泊あたり5,000円(宿泊のみの場合)を上限に、旅行代金が40%割引になるのにくわえ、こちらも1人1泊あたり3,000円分(平日の場合)の地域クーポンが貰えるという全国旅行支援。

旅行代金の40%割引に関しては、単純に相当お得な話だということで、利用者の間からも好意的な声が多くあがっているといった状況なのだが、そのいっぽうで地域クーポンに関してはというと、SNS上の反応を見てみると「使い道に困る」といった声がかなり多くあがっているのが実際のところのようだ。

その訴えの中身を見てみると、ただ単に「1泊で3,000円分というのがトゥーマッチ」だという意見もあるいっぽうで、例えば静岡県だとローカルファミレスとして県外民の間でも有名な「さわやか」では、なぜか全国旅行支援の地域クーポンが使えないなど、いざ使いたいと思っても対応している店が限られていて……といった声もかなりある様子。

あまりにも使い道がないばかりに、なかには家電量販店で家電を購入、あるいはユニクロで服を買うといった、「なにも旅先でなくとも……」といった使い方をする向きも結構存在するという実態も。いわば本来の“旅先の地域にお金を落とす”といったクーポンの趣旨からは、少々離れてしまっている状況だといえそうなのだ。

さらに地域クーポンといえば、各都道府県によって有効期限がまちまちな点も大きな問題となっていて、例えば有効期限が「チェックイン日または旅行実施日から3日間」とかなり短期間に設定されている兵庫県では、3泊4日以上の旅行を計画している観光客がチェックアウト日にクーポンが使えず、廃棄するケースが相次いでいるという報道が。

そのいっぽうで鳥取県では、地域クーポンの使用期限を一律で12月28日までと、その利便性を考慮してか長めに設定されたものの、それが仇となったのか、メルカリに大量出品されるという展開となっているようだ。

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振り返れば今年9月に政府が突如、約1か月後の開始をぶち上げたものの、割引の利率などといった大まかなアウトラインだけを決め、後の細かいレギュレーションは各都道府県に丸投げといった形で始まった全国旅行支援。そんな拙速な物事の進め方をしたことの歪が、“使い道に困る地域クーポン”という形で表れているとも言えそうだ。

地域クーポンの使い勝手の悪さが騒動を招いた?

このように、その使い勝手の面で不満の声が相当上がっているといった状況の地域クーポン。それだけに今回の修学旅行の一件に関しても、宿泊先の現地で地域クーポンが使える店の選択肢が少ないのがあらかじめ分かっていて、とはいえ折角もらったクーポンを無駄にするのも忍びないということで、きっちり3,000円分のカステラで使い切ることにした……といった経緯も、考えられなくはないところ。

ただ元のツイートを見る限り、地域クーポンがカステラに“強制交換”となることを、学校側はあらかじめ生徒側に伝えていなかった様子。

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地域クーポンのカステラへの“強制交換”は、直前まで秘しておきたいことだったのか、あるいは事前に話を通すまでのことでもないと思っていたのか、学校側の意図は窺い知れないが、その謎の判断がゆえに、生徒側のショックが倍増してしまったのは間違いなさそうである。

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