fbpx

全国に増殖中の冷凍自販機…話題のラーメン以外にも鍋料理や刺身の自販機も。コロナ後も“迷惑動画”禍の影響で需要は衰えず?

1食1,000円の「ラーメン自販機」が全国で拡大中だと、SNS上などでも話題となっているようだ。

報道によれば、冷凍ラーメン自販機「ヌードルツアーズ」を展開している丸山製麺は、コロナ禍で大幅な収入減となった際に、製麺工場の前で麺の直売所を始めたところ人気を博したことをきっかけに、有人の直売所以外での販売方法を検討し、最終的に自動販売機での販売を思いついたという。

1号機の設置後、程なくしてSNS上などでその存在が話題となり、ピーク時には1日600食が出るほどの人気となったとのこと。ヌードルツアーズのサイトによれば2月20日現在、全国に176台が稼働しているといい、客層は20代後半~50代と幅広く、さらにそのうちの4割が女性の購入者。無人となると気兼ねがなくなるので、二郎系などのジャンクなものが特に人気なのだという。

あのリンガーハットも自販機専門店を展開中

世界を見渡しても、これほど自販機の数が多い国はないと言われる日本だが、そんななか自販機業界において久々のヒット製品となったといわれているのが、ヌードルツアーズなどでも採用している冷凍自動販売機。

サンデン・リテールシステムの「ど冷えもん」や富士電機の「FROZEN STATION」が、その代表格とされる冷凍自販機だが、その人気の背景には近年の冷凍食品の進化や充実ぶりに伴う需要の高まりにくわえ、コロナ禍に突入したことによって、非接触かつ時間を選ばず提供できる新たな販売チャネルへのニーズが高まったことがあるようだ。

【関連】「セカンド冷凍庫」に集まる熱視線。進化&充実ぶり目覚ましい冷凍食品を活用するため不可欠との声も、一部からは「日本の貧困化の象徴」との見方も

それもあってか、最近では先述のラーメン以外でも冷凍自販機を用いた、いわゆる“チェーン展開”的な動きはあるようで、例えば現在全国に20台以上展開しているという「鍋スル」では、もつ鍋やカニ出汁鍋、しゃぶしゃぶなど2~4人前程度の具材とスープがセットになった冷凍商品を販売中

また既存の飲食チェーンでは、長崎ちゃんぽんの専門店「リンガーハット」が2021年10月から、一部店舗の入り口付近や駐車場などに冷凍商品の自動販売機を置きはじめ、最近では冷凍食品オンリーの自販機専門店も展開しているようだ。

いっぽうで単発のものだと、沖縄・南城市に国内で初めて車エビを販売する自販機が誕生したと、以前大いに話題になったほか、つい最近では仙台市内に刺身の冷凍自販機が登場したと報じられるなど、今や魚介類までもが自販機で売られるという、一昔前までなら到底考えられないような事態になっているようだ。

ちなみに冷凍自販機の導入費用だが、先述の「ど冷えもん」の場合だと新品の本体価格はだいたい200万円ほどとのことで、そこにキャッシュレス決済用の端末代などオプション機能の代金、設置作業費や設置用の部材代などがかかるとのこと。また設置後は、1台ごとにだいたい月々7,000~9,000円の電気代などのランニングコストがかかるようだが、それでも実際に店舗を展開して人員を配置していくのと比べれば、費用は格段に抑えられるのは明らかだ。

“迷惑動画”禍はラーメン自販機にとって追い風か?

今回の報道を見てみると、ラーメン店の選択肢の少ない地方でも好みの味に近い一杯がすぐ食べられるといった、いわゆる“ジェネリック”的な需要も引き出しているいっぽうで、ひとりでラーメン屋へ食べに行くのは憚れるといった、女性らの支持も集めているといった様子のラーメン自販機。

なかでも、独特のコールやローカルルールが存在する店が多い二郎系に関しては、先日も2人で食事していたところ、先に食べ終わった客が店員に退店させらたということで、その是非を巡って大きな議論となるなど、こと女性や未食者にとっては敷居の高いイメージがあるだけに、ラーメン自販機でその手のラーメンが特に人気になっているというのも、大いに頷けるといったところだ。

いっぽうで、ラーメン自販機はコロナ禍を背景に広く普及した一面もあるだけに、この頃のアフターコロナに向けた動きは逆風になるか……と思いきや、それと入れ替わるように今年に入り頻発しているのが、チェーン系の飲食店などを舞台とした“寿司ペロ”などの迷惑行為とその動画の拡散。

【関連】他人の寿司へのイタズラ続出…はま寿司が被害届提出も犯人“逃げ切り”の公算大?性善説が前提の回転寿司システムはもはや崩壊寸前か

最近は飲食店側の多くが断固たる姿勢で、これらの迷惑行為に対処しているところだが、その手の行為が止むことはなく、つい先日には「どうとんぼり神座」の店内で、とある客が複数の割り箸を舐めたあと、箸立てに戻すという迷惑行為の様子がSNSに投稿されるなど、その流れはいよいよラーメン屋にまで波及する事態に。

ラーメン自販機の運営側としては、決して望んでいる展開ではないだろうが、当分は実店舗ではなく、自販機で買って自宅で……といったニーズが衰えることはなさそうである。

Next: 「女性は二郎系入店するの抵抗あるもんね」

1 2
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー