今回は「世間のビジネスから、副業のヒントを探してみよう」特集をお送りします。ビジネスの世界では、成功事例は真似されて、あっという間に広まっていきます。ビジネスモデルに特許はありませんから、カンニングはOKなのです。最近、話題になっている2つのビジネスについて取り上げます。副業を始める際や、普段の仕事のヒントになれば幸いです。( 俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編 俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編 )
※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『サラリーマンを「副業」にしよう』実践編』2023年5月25日号の一部抜粋です。続編にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。2012年独立。フランチャイズオーナーや投資家として活動。サラリーマン時代に副業で出版した『プロフェッショナルサラリーマン』でビジネス書作家デビュー。「仕事術」「お金」「コンディション」「副業」などテーマは多岐にわたり、異分野で10万部超えを3度達成。著者累計は49万部。これからは、サラリーマンでも副業やお金の知識向上が不可欠と実感し、啓蒙に尽力している。ビジネス誌やwebメディア掲載実績多数。『まぐまぐ大賞』を7年連続受賞。
外食産業のカギを握る“おひとり様”需要
今回、最初に取り上げるのは「焼肉ライク」の成功事例です。
日本フードサービス協会のJF外食市場動向調査によると、2022年12月の外食全体の売り上げ動向は、対2019年同月比で100.6%となり、コロナ前を上回ったと言います。
好調なのはファストフード業態で、対2019年12月比で112.2%となっている一方、ファミリーレストランが93.7%、居酒屋・パブが58.6%、ディナーレストラン85.7%、喫茶86.9%などとなっています。
最近の外食産業では、1人客の存在感が増しています。コロナ禍で黙食が推奨された影響もあるのか、2020年4月から2021年3月に1人で外食をした人は、全体の45.9%にも上ったと言います。(ホットペッパーグルメ外食総研、2021年6月)
このような時代背景のもと、2018年に焼肉のファーストフード化を謳った「焼肉ライク」が登場し、おひとり様需要を掴んで大成功を収めました。
焼肉ライクの店内には、パーテーションなどで区切られた1人用の席に、オーダー用のタッチパネルやセルフウォーターサーバー、1人分の無煙ロースターがセットされ、誰にも邪魔されず焼肉を堪能できる空間が用意されています。
これまでの「焼肉プレートを囲んで、みんなでワイワイ言いながらお肉を焼く」という常識を覆したのが、焼肉ライクでした。
これだけでも、かなり革新的ですが、その焼肉ライクが新たに打ち出したのが、焼肉サブスクリプションサービスです。
※参考:焼肉ライク、マッチョに刺さった「焼き肉サブスク」 – 日本経済新聞(2022年12月9日配信)
対象顧客を絞ったことが、焼肉サブスクの成功要因
サブスクといえば、定額サービスのことですから、「いくら焼肉が好きな人でも、そればかり食べるのは、どうだろう」と思いますよね。
だから、彼らは対象顧客を思い切り絞りました。それが、食事制限をしている人たちです。
実は、お肉には良質なタンパク質やアミノ酸、ビタミンなどが多く含まれているため、筋肉をつけたいボディビルダーや、糖質を抑えたいダイエッターたちにとっては、ぴったりの食材です。
お肉には、炭水化物がほとんど含まれていないことから、赤身などを選べば、太る原因にはなりにくいとされています。
食事制限をしている人たちにとって、外食やコンビニのお弁当では糖質が多過ぎるものが多く、敬遠されがちです。
「家の外では、食べられるものがない」「糖質制限食は美味しくない」といった常識を打ち破ったのが、焼肉サブスクだったわけです。
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