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サイゼリヤ、粉チーズの無料提供を終了。輸入チーズは過去最高水準の高値&善意のサービスを無下にする“迷惑動画”も流布で必然の成り行きか

イタリアンファミリーレストラン「サイゼリヤ」が、今夏のグランドメニュー改定に伴い粉チーズの無料提供を終了するとアナウンスしたことが、大きな波紋を呼んでいるようだ。

今月10日に発表したリリースには、新メニューの紹介が紹介されるいっぽうで、その最下部に「お知らせ」とあり、そこに今後のテイクアウト販売の縮小とともに、粉チーズ(グランモラビア)の無料提供を終了するとの告知が。

同社は「今後も気軽に利用し続けて頂ける低価格を維持しながら、お客様に、よりお値打ちを感じて頂ける商品をお届けできるよう励んでまいります」としている。

「もう値上げして」との声も

飲食店を大いに苦しめている昨今の原材料価格の高騰。今回取沙汰されている粉チーズに限らず、イタリアンの店なら大量に使うであろうチーズも例外ではなく、特に輸入チーズに関しては、天候不順による生乳不足の影響もあり、ここ数年で価格が5割以上もアップするなど、過去最高水準の高値となっているとも言われている。

そんななかサイゼリヤでは、従来までだとボトルに入った粉チーズが“かけ放題”だったのが、先月あたりから調味料置き場に置かれた粉チーズをスプーンで適量を別皿に取り、自分のテーブルに持っていくというスタイルを導入する店舗が増加していたとのこと。

この小さな変化を“無料サービス終了の予兆か?”と捉える向きは、その頃から存在していたようだが、その予感はズバリ当たる格好となったようだ。

そんなサイゼリヤといえば、他の外食チェーンが近年数度に渡る値上げを繰り返し行っているなかにあって、それでも値上げはしないという姿勢を貫き、安価で美味しいメニューを届けるための企業努力を続けていることから、ここ数年では世間から熱狂的ともいえるような熱い支持を得ることに。

ただ、値上げこそしないものの、今回のようにそのしわ寄せが客からも見える形で出てしまっていることも実際のところ。それだけに良心的なサイゼリヤファンからは、もはや限界だろうと「もう値上げしてくれてもいいんだよ」といった反応も、多くあがっているところだ。

タダの粉チーズを多用した“裏技”も横行

とはいえ、サイゼリヤといえば他の外食チェーンと比べても価格帯がかなりリーズナブルなこともあってか、その客層は実に様々といったところ。上記のような良心的な客も多く存在するいっぽうで、粉チーズなどがタダなのをいいことに、常識的な分量以上の量を使う人間が多かったのも実際のよう。

例えば、サイゼリヤの看板メニュー「ミラノ風ドリア」に、山ほど無料の粉チーズを掛けて“かさ増し”するというのも、某TVタレントがそんな食べ方をテレビ番組で公言していたこともあって、ある意味で定番となっていた模様。他にも、300円のペペロンチーノに温玉を付け、そこに無料の粉チーズを大量にかけてかき混ぜると、同店で普通に頼むと500円するカルボナーラ的なものになるという“裏技”も、一部では流布していたようだ。

さらには、今回の報道を契機にして浮上しているのが、今年の頭から世間を大いに騒がしている飲食チェーンをターゲットにした「迷惑動画」の、いわば“粉チーズ版”といった動画。

若い男らがパスタに粉チーズをボトルが空になるまで入れまくって大騒ぎしているこの動画だが、これ自体は数年前に出回ったもののようで、また“粉チーズ直食い”などといった、衛生面で問題があるといった内容ではない模様。とはいえ、明らかにふざけて必要以上の粉チーズを使いまくっている姿に、こういう客がいるようじゃ無料提供が終わるのも無理もない……といった空気も広がっているところのようだ。

「サイゼリヤで満足することは“貧しい”ことなのか?」という論争が、SNS上で大いに取沙汰されたのは昨年のだいたい今頃だったが、経済的な面はともかくとして、少なくとも心のほうは非常に貧しいといった連中による振る舞いが、店側の善意によって続けられてきたサービスの終了という、寂しい結果を招くこととなったようだ。

Next: 「ほんとに貧しい国になってしまったよ、日本は」

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