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ホンダの全力「EVシフト」は四輪事業の終わりの始まり。強みを捨て“負け戦”に挑む愚策だ=澤田聖陽

本田技研工業(ホンダ)は7月4日、系列の部品メーカーである八千代工業をTOBで100%子会社化した後に、インドの自動車部品メーカー「サンバルダナ・マザーサン・グループ(マザーサン)」に売却すると発表した。この動きはホンダの「EVシフト」の象徴だが、結果としてホンダの四輪事業の終わりの始まりになるのではないかと思っている。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)

※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2023年7月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。

ホンダ「EVシフト」で八千代工業は用済みに

本田技研工業(ホンダ)は7月4日、系列の部品メーカーである八千代工業をTOBで100%子会社化した後に、インドの自動車部品メーカー「サンバルダナ・マザーサン・グループ(マザーサン)」に売却すると発表した。

八千代工業株は上場廃止となる見込みで、100%子会社化した後、ホンダは持ち株の81%をマザーサンに売却する。

八千代工業の主力製品は燃料タンクで売上の25%を占め、売上に対するホンダ依存度は9割以上。

ホンダは2021年に就任した三部社長のもと、EVシフトを進めており、2040年には世界での販売のすべてをEVとFCV(燃料電池車)にするという計画を発表している。

ホンダの打ち出したEVシフト戦略の中で、八千代工業はホンダの重要な系列サプライヤーという位置付けから外れたということだろう。

筆者はホンダの動きには常に注目している。ソニーとホンダの合弁で行うEV事業「AFFELA」についても、下記のとおりその都度評価をしてきた。

【関連】ソニー&ホンダの電気自動車は惨敗する。なぜ日本メーカーは消費者向け事業が不得意になったのか?=澤田聖陽

【関連】EV参入で「世界のソニー」完全復活。ホンダと組めば世界最強の電気自動車メーカー誕生も=澤田聖陽

AFELLAについても、直近の試作車発表会の内容を見て酷評したが、今回の八千代工業の売却についてもネガティブな評価をせざるを得ない。

ホンダの強みは「エンジン技術」と「マーケティング」だったはず…

そもそもホンダの強みとは何だろうか?

ホンダの強みはエンジン技術とマーケティングにあったはずである。

エンジン技術は創業者の本田宗一郎がこだわり続けた部分で、ホンダのDNAであるとも言える。

マーケティングについては、ホンダはF1参入(撤退と復帰を繰り返しているが)など巧みであった印象だ。

たしかに脱CO2やEV化の流れのなか、エンジン技術にこだわるのは時代遅れだという意見もあるだろう。

しかし、ホンダがEVに全振りする戦略は本当に正しいのだろうか?

Next: EVに完全シフトして勝てるのか?ホンダは迷走している

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