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泥船脱出?楽天モバイル「技術的中心人物」タレック・アミン氏が退任。三木谷氏を“モバイル沼”に誘った張本人が去り、ついにサ終へのカウントダウン開始か

楽天モバイルの共同CEOだったタレック・アミン氏が「自己都合のため」退任したと報じられたことが大きな波紋を呼んでいる。

アミン氏の退任は7日付で、グループ傘下で通信インフラ事業を担う「楽天シンフォニー」のCEOも同日付で退任したとのこと。楽天モバイルCEOの後任は、同社でCTO(最高技術責任者)を務めるシャラッド・スリオアストーア氏。楽天シンフォニーのほうは、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長が会長兼CEOに着任するという。

今年4月以降は、楽天グループの鈴木和洋専務執行役員とアミン氏との2人CEO体制だった楽天モバイル。いっぽうアミン氏は、今月4日にグループ主催のイベント「楽天オプティミズム」にて講演する予定だったが、急きょ欠席が決まり、当日は別の役員が代わりに登壇していた。

楽天モバイル“終焉”へのカウントダウンとの見方が多数

今回退任することとなったタレック・アミン氏だが、楽天グループへの入社は2018年のこと。それ以前は、T-Mobileやファーウェイ・テクノロジーズを渡り歩き、2013年からはインドの通信会社リライアンス・ジオの上級副社長を務めるなど、常にモバイル通信業界の最前線で活躍を続けていたエンジニアだ。

楽天内においては、アンテナ以外の大半の設備をクラウド上のソフトウエアに置き換える“仮想化”技術「完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワーク」の旗振り役として、その存在感を大いに発揮。

この技術だが、大手通信機器メーカーの高価な通信専用機器を使用せず、汎用サーバーでネットワークを構築できるメリットがあるといい、それにより従来のネットワーク構築に比べて設備投資を4割、メンテナンス費用を3割程度、それぞれコストカットできるのだという。

いうなれば、楽天モバイルの大きなウリである「安さ」を実現するための、基幹となる技術といったところなのだが、その技術の中心的人物が突如として退任ということで、SNS上では「敗色濃厚すぎて、いよいよ大将も逃げる。。」「泥船」「いよいよエンドロールに向けてカウントダウンか」などと、ただでさえ苦境が続いている楽天モバイルが、いよいよ追い詰められていることの象徴として捉える向きが多い模様だ。

モバイル事業の赤字補填でまたもや“サービス改悪”

いっぽうで、三木谷会長本人による過去の記事によれば、アミン氏とは2018年にとある携帯関係の見本市で出会い、程なくして「もしよければうちに来ない?」と自ら誘ったところ、アミン氏は二つ返事で「行くよ」と応えたのが、楽天入りのきっかけだったとのこと。

楽天がMNO事業への参入を表明したのが2017年末のことで、3大キャリアの牙城を崩すという意味でも、アミン氏の持つ技術には大いに期待を寄せていたであろう三木谷会長だが、今となればこの時に三木谷会長がアミン氏に入れ込まなければ、現在の楽天モバイル、ひいては楽天グループ全体が陥っている惨状はなかっただろうに……といった見方も、一部からはあがっているところだ。

「楽天市場」や「楽天トラベル」といったインターネットサービス、さらに「楽天銀行」「楽天カード」などのフィンテック事業が好調にも関わらず、モバイル事業の大赤字が大きく足を引っ張る格好となっている楽天グループ。

その赤字の“尻拭い”といった様相の、楽天会員向けサービスの改悪は留まることを知らず、つい最近も楽天カードのポイント計算法を、これまでの“月の合計”から“会計ごと”に変更するという、実質上の還元率ダウンを11月請求分以降から実施すると発表し、ユーザーから大ブーイングが巻き起こる事態に。

いっぽう、2021年3月に発表された楽天と日本郵政との業務提携に関して、当初から楽天サイドにばかり利のある内容ということで、その提携を疑問視する声は当初から少なくなかったわけだが、ここに来て「政府による日本郵政を使った楽天救済だったのでは」といった疑惑が一部メディアから持ち上がり、大いに取沙汰されているところだ。

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そんな楽天が苦境から脱出するためには、一にも二にも“モバイル事業からの撤退”が必要不可欠という声は、株主はもちろんのこと“改悪”の影響を受けまくる楽天経済圏のユーザーからも、かねてから大いにあがっていたところ。今回のアミン氏の退任で、そのような流れがいよいよ現実味を増していくのか、その動向が大いに注目されるところだ。

Next: 「三木谷氏が真に受けて、暴走したんでしょうね…」

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