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まるで政治家の財布のようにバラ撒かれる税金。なぜ国民が納得できない支出と増税ばかりになったのか=斎藤満

政府は国民から税金を預かっていて、それを国民に代わって必要なところに使うという意識がありません。財政効率が低下しており、その要因として政治権力によるバラマキが大きくなっていることが挙げられます。オリンピックや万博の名のもとに、大きな金を動かし、その中間マージンを政治家やIOCなどの主催者、政府と親しい企業が「抜く」ことで「漏れ」が大きくなります。(『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2023年8月15日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

日本の政府債務は深刻

日本の政府債務をグロスで見るか、資産を差し引いたネットで見るかでその評価は分かれます。

グロスの債務は1,500兆円を超え、GDPの2倍を優に超えますが、資産900兆円余りを差し引けばGDPをやや超える程度で、欧米並みとなります。

市場の失敗、弱者救済に財政は必要です。経済に需要不足があれば、財政需要の追加も正当化されます。

しかし、その規律のなさが展望の開けない財政危機の不安を強めているのも事実です。先に債務上限問題で市場を脅かした米国よりも、むしろ日本のほうが規律のなさという点では深刻な状況にあります。

景気調節機能が低下

社会保障、道路建設など市場機能に任せられない分野に財政出動が必要なことは論を待ちませんが、これまで大きな柱となってきたケインズ主義的な財政による景気調節機能は低下してきました。経済が成熟して道路やインフラ整備による公共事業の呼び水効果が低下したこともあります。

近年はむしろ景気対策には金のかからない金融政策に委ねる面が世界的に高まりました。

実際、景気対策の乗数効果が低下し、投下資金当たりの成長支援効果は年々低下しています。そのやり方にも問題があり、財政資金が介在する政治家やあっせん企業のマージンに消える分が大きくなり、投下資金の割に「真水」が少なくなっていることもあります。

実際、中央政府だけで年140兆円もの支出を続けながら、政府支出も、民間需要への波及も限られ、低成長が定着しています。

政治権力による支出性向

その裏で、財政効率を低下させている要素として、政治権力によるバラマキが大きくなっていることがあります。

オリンピックや万博の名のもとに、大きな金を動かし、その中間マージンを政治家やIOCなどの主催者、政府と親しい企業が「抜く」ことで「漏れ」が大きくなります。

当初予算よりはるかに拡大した五輪予算が国や東京都の財政を圧迫しましたが、60年前のような「五輪景気」は実現しませんでした。

またさらに大きな権力で日本を動かす米国政府や企業が、5年で43兆円もの防衛費を日本に求め、その多くが米国製の兵器購入に充てられ、負担だけ増えて日本経済には貢献しません。イージス艦や戦闘機の整備も日本は手を出せず、米国任せです。いざというときに米軍が日本のために戦う保証もありません。

防衛費増税への国民の批判が強まると、これをかわすために今度は「異次元の少子化対策」として富裕層にも児童手当がばらまかれ、その財源負担の議論が封印されたままです。まずは支出ありきで、その政策により、少子化にどんな成果が期待できるのか、その目標さえ示されない無責任さです。

コロナ・ワクチンも国民に新型ウイルスの不安を抱かせたうえで、欧米のワクチンをほぼ強制的に接種させ、大金を欧米医薬品業界に払いました。その副作用で亡くなった人や副反応の大きさと、コロナ感染回避のメリットの比較も検証されていません。

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