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子会社の賞味期限“書き換え”で謝罪のシャトレーゼ。内部通報からの迅速な商品回収&指示した社長への懲戒処分が奏功し批判の声はわずか

菓子メーカー「シャトレーゼ」が販売していたチョコレートケーキの一部商品において、賞味期限の書き換えがあったと同社が謝罪した。

報道によれば、賞味期限の書き換えがあったのは「濃厚ショコラテリーヌ」で、賞味期限が「2023年9月6日、12日、23日、10月3日、31日、11月14日」となっている商品で計4344個。店頭やオンラインショップで冷凍販売されていたという。

シャトレーゼの製造子会社で、岩手県一関市にある「菜花堂」で書き換えが行われていたといい、対象商品は自主回収に。なお、公的機関の調査で、品質や安全性に問題はないことを確認しているという。

社内の内部通報により発覚か

ここ10年で売上高は倍増以上、最近ではアジア圏などの海外でも同社のフルーツケーキが大いに人気を博すなど、大いに勢いづいているシャトレーゼ。

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そんなシャトレーゼといえば、2015年には九州地盤の菓子製造会社「さかえ屋」を、さらには2021年にはナボナで有名な「亀屋万年堂」も傘下に収めるなど、国内外の同業他社を積極的に買収することで事業規模を拡大。

今回の賞味期限書き換えの舞台になった菜花堂も同様で、2022年2月1日付でシャトレーゼが全株式を取得し完全子会社。ちなみにこの菜花堂だが、もともとは小麦粉やてんぷら粉、食用油などの製造販売などで著名な昭和産業によって、1999年に設立された菓子メーカーだったようである。

そんな菜花堂の社長は、シャトレーゼから出向してきた人物が務めていたということだが、どうやらその社長が、商品が売れ残るのを避けるため、賞味期限を本来よりも長く書き換えるよう指示していた模様。

最も長いものだと、本来は6月20日だった賞味期限を11月14日に改ざんしていたということで、かなり大胆な書き換えだったようだが、8月になって菜花堂の品質保証の管理者がこのことに気づき、シャトレーゼの本社に通報。それに基づき調査したところ、改ざんが明るみになったということのようだ。

改ざん支持の子会社社長は懲戒免職に

菓子メーカーの賞味期限の改ざんといえば、過去には赤福も同じようなことをやらかした過去があり、今回の件でそのことを連想した向きも少なくないようである。

赤福は2007年に、出荷の際に余った餅を冷凍保存し、解凍した時点を製造年月日に偽装して出荷……といったことを組織ぐるみで行っており、地元の保健所に通報され、農水省と同保健所の調査を受けることに。その後赤福は、製造年月日だけでなく原材料表示の偽装も行っていたことも発覚したことで大いに批判を受け、当分の間は駅や百貨店などでの販売を自粛する事態となったのだ。

同じく2007年だと、不二家が消費期限が切れた牛乳を工場で使用していた事実を、同社が隠蔽していたことが発覚し、こちらも大きな騒動に発展するという出来事もあったりと、菓子メーカーにとって賞味期限の改ざんは、一度発覚すれば消費者からの信頼を一気に失い、社運が傾くようなことも、過去にはままあるところ。

ただ、今回の件はというと、シャトレーゼに対する失望の声は当然あがってはいるものの、大きな批判の渦が巻き起こるといった状況ではなく、上記の先例のような最悪の事態は辛くも回避したといった状況のよう。

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今回シャトレーゼ側は内部通報を受けて迅速に調査を行い、賞味期限の改ざんが確定するや自主回収を行うとともに広くその事実を公表。さらに、改ざんを指示した菜花堂の社長に関しても、今月1日付ですでに懲戒免職にしたようで、とにかく素早い対応が目立つところで、そのことが大いに功を奏した格好だ。

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