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いまや消費税が最大の税収源。国民を翻弄する“増税メガネ”と経団連の増税マッチポンプ=今市太郎

財政規律の厳格化は全く進まないのが現状

足元の本邦国家予算は、10%消費税の定着化により71兆円もの史上最大税収がありながらも114兆円が組み込まれており、依然として43兆円もの歳入不足分は赤字国債の発行に依存している状況です。

そもそも税収の範囲内で国家予算を組み立てられればそれに越したことはないわけですが、世界の主要国でそんな予算の組み立てを行っているところは皆無で、少なからず国債発行で不足分を賄うのはもはや定石となっています。

ただ、GDPの257%もの国債発行を行ってしまっているこの国は、世界的に見ても異例の状態。いくら「莫大な対外資産をもっているから国債の借金の額面が日本の債務の総額ではない」という説明を受けても、さすがにそれには限度があることも感じる状況となっています。

米国はすでに33.1兆ドルもの連邦債務を抱えており、税収などで長期に渡って自力で返済することなどまったくできない領域に入っており、自国通貨を劇的にドル安にするのかハイパーインフレにするのか知りませんが、冷静に見れば途方もない状況に突入していることがわかります。

それに比べればまだ日本はましとは言うものの、インフレで金利が上昇してくると莫大な発行債券への利払い増加による国債費の増加も大きな問題で、一度上げてしまった消費税率を下げるとか税自体を無くすということは非常にチャレンジングなものとなっていることを感じされられます。

ただそれと同様に、国の税収をアップさせるために、消費税の税率を無闇に上げるのもすでに限界が近づいています。他の税収、とくに法人税率の引き上げ・累進課税の見直し・金融所得税の見直しなどほかの費目で税収を改善することを、もっと積極的に考える必要を感じさせられます。

経団連が持ち出してきた消費税増税による社会保障制度見直し提言の理不尽さ

経団連は10月13日「中長期視点での全世代型社会保障の議論を求める」と題した提言を発表しています。

それによりますと、本邦ではすでに国民負担のおよそ4割が税以外の社会保障負担になっていて、現役世代が急減するなかで、負担のあり方を検討する必要があるとしています。

この話、一見すると正しそうに見えます。しかし、それとは別に支払いを余儀なくされている消費税を含めますと、江戸時代に百姓が到底食べていかれずに一揆の原因ともなった五公五民をゆうに超える税率に達しており、いまさら社会保障制度を維持するために消費税率の引き上げをするように求めた提言を政府に求めるなど、言語道断の状況となっています。

とくに消費増税のたびに、国際競争力の確保や海外からの国内ビジネス参入の障壁とならないための「世界水準の法人税の確立」などというもっともらしい理由をつけて44%から29%までその税率を引き下げてもらうというインセンティブにありついたのは、まさしく大企業です。

国民負担のおよそ4割の社会保障負担を軽減するのであれば、自ら法人税率の引き上げを申し出るほうがよほど先の話であるように見えてきます。

自民党に多額の政治献金をしながら、こうした勝手な提言を現実にしようとする経団連のやり方は、もはや看過できない領域に入ってきていることを感じさせられます。

Next: 「消費減税」で経済が活性化するかを試してみては?

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