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また検討だけで「所得減税」とん挫か。内閣支持率低下で解散できず、選挙がないなら“ばら撒き”も不要に=斎藤満

補選は2連敗の可能性

この22日には長崎と高知・徳島での補選が行われます。

読売新聞は先にこれを1勝1敗との予想を報じましたが、自民党の内部調査では両選挙区ともに劣勢で、しかも日を追うごとに差が開いていることに危機感が募っています。

いずれも与野党一騎打ちの形で、いわば岸田政権の信任投票と見られています。2連敗となれば、岸田総理の信任低下がはっきりし、野党は臨時国会で厳しく追及する構えです。

解散総選挙はできない

岸田総理は総理特権である解散権の行使をずっと考えていましたが、5月の広島サミット後に支持率が上昇した時期は、まさに「ど真ん中の絶好球」が来たことになります。

ところが、そこでバットを振る決断ができずに、絶好のチャンスをみすみす失いました。麻生副総理などから慎重にというアドバイスがあったようですが、その後は2度とこのような「絶好球」は来ませんでした。

むしろその後は旧統一教会の問題や首相補佐官のスキャンダルなど、千賀投手の「おばけフォーク」のような難しい球が続いて、ついに「見送り三振」でバッター・アウトとなりました。

チャンスにバットを振る勇気、決断力がなかったことになりますが、その間に防衛費の増税調達、子ども支援の資金も社会保障費の引き上げなど「実質増税」で賄おうとし、“増税メガネ”の汚名をうけるなど、自らの対応が支持率低下につながりました。

危機管理ができない点が致命傷

なかでも国民の不満を高めたのが物価高への対応です。

政府は電気ガス、ガソリンなど、エネルギー高騰の分には対処していますが、いずれも企業への補助金支給により、値上げをしないようにという企業任せの対応にとどまっています。

電気ガスは国の統制が効いている業界だけに、価格は抑えられていますが、石油元売りへの補助金延長はガソリン価格には十分反映されず、いまだにレギュラーは170円を超えています。

いまや物価高の半分以上は食料品の価格上昇によりますが、これへの対応がなされていません。そもそも、食料品は前年比8%台の上昇となっていますが、現場でははるかに高い上昇となっています。最近ではトマトが50%以上上がり、パンもこの2年で50%近く上がっています。調査は食パン,あんぱん、カレーパンに限れますが、その他の調理パンは2年で5割高はざらです。

ワインも国産はメルシャン、輸入ものもこれらの業者が輸入する1本数百円のものを追いかけていますが、売れ筋ワインはこれらよりずっと高価で、しかも価格はフランスのブルゴーニュ産では2年前に1本数千円だったピノが今や1万円を下りません。予算の関係で調査員を減らしているのか、現実と乖離した価格が物価統計に多く見られます。家計の実感インフレ率は3%ではなく、14%(日銀)となっています。

また政府の危機対応ができていません。食糧安保はマラッカ海峡、台湾海峡が封鎖されると国民は半年で飢えてしまいます。イスラエル戦争にも危機感が見えません。現地の邦人避難は政府の対応が遅れた上に、3万円の費用を取られ、しかも途中で降ろされる始末。韓国や米国は早々に軍が飛行機を出して退避させました。

この戦争でもしイランが加わり、ホルムズ海峡が封鎖されると、日本が輸入する石油の9割が途絶えます。日本の備蓄量では1年も持ちません。隣国中国、ロシアも含めて国際情勢が不安定になる中で、日本の過度の米国依存で国民の安全は確保できるのか、岸田政権には期待できない、との声が支持率低下に表れています。

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