「衰退ニッポン」の状況悪化とともに、ひきこもりも増加している
あらゆる方面で、「衰退ニッポン」が進行中なのですが、子ども世代の教育環境そのものから、何かが大きく崩れ落ちていることは間違いないでしょう。
つまり、こうした学校教育の生徒や教師の置かれた現場から、息苦しい状況が垣間見えてくるのです。
子どもの不登校が増えていることは、そのまま将来の「ひきこもり予備軍」の増加ととらえることもできるのですから、本当に由々しき問題です。
ちなみに、「ひきこもり」の定義は、以下の通りです。
1. 趣味の用事の時だけ外出する
2. 近所のコンビニなどには出かける
3. 自室からは出るが、家からは出ない
4. 自室からほとんど出ない
以前は、こうした状態が6カ月以上続いた場合とされましたが、現在はあまり期間は重視されていません。
厚労省のガイドラインによれば「引きこもり」の定義を「様々な要因により、就学・就労・交遊などの社会的活動に参加せず、原則的に6ヵ月以上にわたり概ね家庭にとどまっている状態」としています。
こうした「ひきこもり」が増えている原因は、日本経済の社会の衰退ともほぼ連動しているといってよいでしょう。
ひとつの会社の中に、労働者派遣法によって「正規雇用」と「非正規雇用」といった階層差別を導入し、賃金を極限まで抑え、大手企業は内部留保を貯め込む構図とともに、労働者の働く環境はどんどん厳しい状況ヘと追いやられてきたからです。
貧困は子どものいる家庭にも及びます。2022年の「子どもの相対的貧困率」は数値がやや改善したものの11.5%です。
ただし、国民全体の相対的貧困率は15.4%で米国や韓国よりも悪く、先進国では最多になっています。
また、一人親の半分は相対的貧困状態にあります。
相対的貧困率の上昇を見ても、「衰退ニッポン」では、子どもから大人まで、ギスギスとした人間関係の社会が増幅していることが窺えるのです。
学校現場では「イジメ」や「不登校」、職場においては雇用関係の劣化(イジメ、リストラ、賃金カット、ノルマ追求、追い出し部屋、ブラック企業.etc.)などなど、世の中の息苦しい環境への変化が、「ひきこもり」発生の背景理由としてあるのは、間違いないのです。